出店、デジタル投資、価格政策……ヨークベニマル真船幸夫会長が語る25年の展望
ヨークベニマル(福島県/大髙耕一路社長)は2月14日、茨城県古河市に「ヨークベニマル古河店」(以下、古河店)をオープンした。市内初出店となる同店は、新たな旗艦店をめざすうえで重要な位置づけの店舗だという。オープン日、メディアの囲み取材に応じたのは同社の真船幸夫会長。3月1日付でのイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)の代表取締役会長就任を控えるなか、自社の経営環境や出店政策、そしてイトーヨーカ堂での新たな役割などについて語った。

“ヨークベニマルでなければ”を増やす商品づくり
―古河市内には初出店、事業エリアの中でも最南部に位置する店舗の1つとなります。
真船 古河市が進める「古河」駅東部の土地開発の一環で出店した。ヨークベニマルのほか、同じ敷地内にある「カインズ」「無印良品」「スターバックス」も市内初出店で、“初物揃い”となった。
当社にとって初めての土地なので、まずは普段どおりの店づくりをやってみて、それからお客さまの声を聞きながら、見直すべきものを見直していく。
店舗周辺はまだ開発途上だが、同じような立地に出店した「小山雨ケ谷店」(栃木県小山市、2012年11月開業)は周辺の開発が進み、今では旗艦店に成長している。古河店も3~4年経てば周囲の風景はガラッと変わっているかもしれない。初年度の年商目標は16.4億円だが、旗艦店レベルに成長していくイメージを持っている。
―今期(25年2月期)の状況を教えてください。
真船 今期は、売上高は伸びているものの、人件費増加に粗利益の伸びが追い付いていない。各社も似たような状況だと思うが、経営環境は厳しい。
また、主力部門の1つである総菜は、米の相場高の影響を強く受けている。お客さまに許容していただける範囲で価格に転嫁せざるを得ない。
一方で、インストアで炊いたり詰めたりといった手間暇をかけた商品の価値や魅力をどのように伝えていくかも重要になってくる。

―プロセスセンター(PC)の活用域も拡大していきますか。
真船 PC比率は上げていく。来月中旬以降、福島県郡山市の新食品工場「第4工場」が試験操業を始めるので、キャパシティは向上する。利益率を上げていくためには、デリカPCの活用が成功のカギとなる。
どのように自社工場を活用してヒット商品を生み出していくか、それに加えて定番商品をどれだけ磨き込めるかを考えていく。“ヨークベニマルでなければ”という商品をつくっていきたい。
―出店計画について教えてください
真船 来期(26年2月期)はスクラップ&ビルド(S&B)3店舗、新規出店2店舗を計画している。
S&Bは、店舗年齢40年くらいの老朽化した店を対象に行ってきたが、来期で一巡する予定だ。