イオンリテールの課題解決SC? 「そよら」が担う3つの役割とは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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②老朽化店舗を再生する選択肢の1つ

武蔵狭山では店内の内装に新しいデザインを採用、見た目にも近接店の狭山と差別化
武蔵狭山では店内の内装に新しいデザインを採用、見た目にも近接店の狭山と差別化

 そよらで目指す2つ目の課題解決は、老朽化店舗の再生です。そよらは24年春までに9店舗体制になりますが、このうち5店はオープンから40年前後を経た店の建て替えです。他は改装2店、新設2店です。

 古い総合スーパー(GMS)店舗の中には、今でも潤沢な商圏環境を保っているケースもあるわけで、そういった店舗を建て替える事例は、フード&ドラッグのイオンスタイルを核とする「そよら」に限りません。商圏によってはGMSのまま建て替える場合もあります。22年10月に再オープンしたイオン天王町SC(横浜市保土ヶ谷区)はその例です。

 老朽化店舗を建て替える際の選択肢として、そよら屋号なら核店舗はフード&ドラッグ、イオン〇〇SC屋号ならGMSという使い分けをしていくそうです。

③商圏内のすみ分け、さらには拡張へ

 そよら3つ目のソリューションは、商圏が重なる複数店舗のすみ分けです。イオングループは、その歴史の中でいくつかのGMSチェーンを統合してきました。そのため、同じ商圏内にGMS(またはそれを核とした商業集積)が重複しているケースが、そこそこあります。

 それらのうち、店舗の一方を「そよら化」することで、機能を分けようという発想です。JR茅ヶ崎駅周辺のそよら湘南茅ヶ崎とイオン茅ヶ崎中央店や、西武新宿線・狭山市駅周辺のそよら武蔵狭山とイオンスタイル狭山は、そういった事例です。

 どちらも、そよらを開設する前にもう一方の店もリニューアルしており、ターゲットや利用目的の違いを際立たせています。狭山市のケースでは、イオンスタイル狭山はキッズ関連を強化し、そよら武蔵狭山の方は大人をターゲットにした直営衣料をショップスタイルで導入しました。そよらの核店舗はGMSではないけれど、商圏を見て衣料品を展開する場合もあるということです。

 そよら武蔵狭山は老朽化店舗の建て替え&ドミナント内のすみ分け事例ですが、2025年には隣駅の入曽駅近くに、完全な新設で「そよら入曽」がオープン予定です。このことから、そよらは既存ドミナントエリアの修正だけでなく、商圏拡張のフォーマットとして展開していく意志を確認できます。

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