しまむら鈴木誠社長が語る「3期連続増収増益」達成の打ち手とは

2023/07/12 05:55
阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
野澤正毅
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コロナ禍や物価高騰、円安など消費市場に逆風が吹き荒れる中、しまむら(埼玉県/鈴木誠社長)が20232月期決算で、3期連続となる増収増益を達成した。機能性やファッション性など付加価値を高めた高価格帯のPBを増やし、プロパー消化率を引き上げるなど、売上や利益を高めるMDが奏功した。一方で、売場の作業効率化で人件費を抑制するなど販管費の削減も進め、2030年度までに営業利益率を10%に引き上げる方針だ。

聞き手=阿部幸治(本誌)、構成:野澤正毅 *インタビューは2023年5月下旬に実施

3期連続の増収増益を達成

――コロナ禍に加え、物価高騰や円安など厳しい環境が続くなか、232月期(22年度)は3期連続となる増収増益を達成しました。

鈴木誠社長

鈴木 2023年度までの中期経営計画「リ・ボーン」でこれまで取り組んできた、一連の MD(商品政策)改革が奏功しつつあるのが大きな理由でしょう。端的に言えば、セールを柱にした価格訴求に依存するのではなく、プロパーでも消化できる価値ある商品を増やしてきました。そうした路線がお客さまに支持され、数字にも表れたと考えています。

――既存店ベースでは客数も堅調ですが、客単価がとくにアップしています。

鈴木 2022年度下期のしまむら事業を例にすると、衣料品は買い上げ点数が減ったものの、一点単価は対前期比6.5%増となり、結果として客単価が上がりました。商品価値に加え、当社の強みである競合店と比べての“安さ”、つまり「値ごろ感」が支持された結果です。

値上げしても、品質も上がっていることを店頭や販促でお伝えできれば、お客さまは納得して買ってくださいます。例えば、洋服などはシーズンごとに商品が入れ替わるので、新商品は原材料やコストアップを反映させて、価格帯を引き上げていますが、同時に機能性やファッション性といった付加価値も高めています。一方、インナーや靴下などの実用衣料は、値上げをなるべく抑えています。同じ商品で値上げすると、実質的に価値が下がるからです。

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記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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