ソフトバンク、ヤフーの新流通革命2 LINEとの統合で必要な欠片はリアル店舗だけになった
LINEとの経営統合で
流通革命の基盤が整う!
11月中旬、Zホールディングスとメッセンジャーアプリ大手のLINE(東京都/出澤剛社長)が経営統合を発表した。
LINEの親会社である韓国ポータルサイト大手のNAVERとソフトバンクが共同出資で新会社を設立。その新合弁会社がZホールディングスの筆頭株主となり、Zホールディングス傘下にヤフーとLINEがぶら下がる体制になる。
これをSBGの流通戦略という観点からみると、今後経営統合を果たした場合、ソフトバンク陣営は、国内最大のメッセンジャーアプリというキラーコンテンツを新たにグループに取り入れることになる。LINEのユーザー数は約8000万人で、メッセンジャーアプリのほか、モバイル決済の「LINE Pay」、ECの「LINEショッピング」、スマホ投資サービスの「LINE証券」など、LINEアカウントに紐付いた多様な派生サービスを展開している。これらが「PayPay」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」といったSBG傘下のサービス群と連携・統合していくと考えると、その効果は計り知れない。
中でも注視されるのが、決済サービスの展開だ。今回の統合について、決済の専門家集団NCBLab.の代表を務める佐藤元則氏は、「ヤフーとLINEをあわせた巨大な顧客基盤に対してPayPayとLINE Payが保有するアセットが統合された金融サービスが提供されれば、一気に日本のデファクトスタンダード(事実上の標準化された基準)になるだろう」と予想する。
さらに佐藤氏は、経営統合が成立した場合、「(SBG陣営が)流通業界に革命を起こすための基盤固めは、これでほぼ揃ったといえる」とも話す。
ZOZO、そしてLINEと、自社グループに足りないピースをM&Aや提携、経営統合で埋めていく、というSBGの流通戦略の流れは、もはや決定的なものとなったと言っていい。さらに言えば、この「足りないピース」の中に「リアル店舗」があれば、もしくは必要なフェーズになったら、SBGの莫大な資本力によって獲得に動くことになるだろう。
※『ダイヤモンド・チェーンストア』誌12月1日号特集から一部コンテンツ抜粋の上、加筆・再編集したものです