「エブリデイ・セイム・アホーダブル・プライス」を実現=マックスバリュ東海 寺嶋 晋 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──EDLCに向けた取り組みとして、マックスバリュ東海は生鮮部門でPCを積極的に活用しています。今後の投資や新たな展開についてはどのような計画を持っていますか?

寺嶋 インストア起点からアウトパック起点へのビジネスモデルの転換を図っていきます。現在PCでは、売れ筋商品以外の商品を小ロット多品種生産しています。そして売れ筋商品を店内加工して、店段階の粗利益率を引き上げる。これはインストア起点の考え方なのです。

 そうではなく、大量に販売するマス化商品を、PCで集中的に大量生産する態勢へと移行します。マス化商品をPCで集中生産することで、大幅なコスト引き下げが見込めます。ただ、現在の当社のPCの製造キャパシティでは全然足りないので、拡充しなければなりません。その際、すべてを自前で整備する必要はありません。イオングループには、イオンフードサプライ(千葉県/佐々木勉社長)という生鮮加工・配送を担う機能会社がありますから、そこへの委託や地元のベンダーさんへの委託も選択肢のひとつになります。

13年2月期に年商1900億円をめざし、積極出店

──アウトパック主体のビジネスモデルが進めば、バックヤードが最小化され、さらにローコストで出店可能になります。今後の出店戦略を教えてください。

寺嶋 当社では13年2月期に年商1900億円をめざしています。数字の根拠は、年商20億円の売場面積600坪クラスの新店を年間10店舗ずつ出店していくというものです。しかし、そこには小型店の出店分は考慮に入れていません。小型店の業態確立に向けたノウハウが、まだ当社には蓄積されていないからです。

今年9月にオープンした、売り場面積300坪スタイルのマックスバリュ富士水戸島店今年9月にオープンした、売り場面積300坪スタイルのマックスバリュ富士水戸島店

 とはいえ、売場面積600坪の店だけを出店していくのかといえば、そうではありません。ドミナントを深耕し、エリアシェアを高めることを考えれば、600坪のSMだけでなく、モール型ショッピングセンターに入居する売場面積1000坪の店舗もエリアに1店舗ぐらいは必要でしょうし、ディスカウントストア(DS)も、そして300坪タイプの小型SMも必要になる。そのエリアで複数のフォーマットを展開し、お客さまに生活シーンに応じてより便利に使い分けしていただくことが肝要です。

 小型店フォーマットありきではなく、あくまでも商圏内シェアアップが優先課題としています。そして、それを実現するためにはどうしても、小型店フォーマットの確立を急がなければならない、というのもまた偽らざる本音です。ただ、「まいばすけっと」や「れこっず」のような小型店を自社で展開する気持ちはありません。それは、イオングループの専門部署に直接出店してもらったほうが早く展開できるからです。

──DSということでは、現在、イオングループが力を入れている「ザ・ビッグ」を出店するのですか?

寺嶋 自前で「ザ・ビッグ」を出店していきます。DSに業態転換して商圏を広げない限り、黒字化が達成できない、これ以上成長できないという店が当社にもあります。店舗閉鎖すれば地域のお客さまにご迷惑をおかけしますから、存続を前提に考えた場合、DS業態に転換することで打開を図るべきだと考えています。今後1~2年以内にそういった事例が出てくるはずです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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