「エブリデイ・セイム・アホーダブル・プライス」を実現=マックスバリュ東海 寺嶋 晋 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──具体的にはどのような組織態勢に変えていくのですか?

寺嶋 これまでは、本部が強いトップダウン型の組織でした。これを、店側が主体になりもっと意見を出し合うマネジメント態勢へと移行していきます。つまり本部主導から、店舗主導のボトムアップ型マネジメント態勢への変更です。1店舗1店舗をそれぞれの地域で最良の店にする、この実現に向けたマネジメントスタイルの刷新が、次のステップだと思っています。

 そのためにはまず、われわれ経営側が、従業員の“意見を聞く耳”を持っていることを、わかってもらうことから始めています。現場の正確な情報が私の耳に入らなかったら、会社は変わりません。だから、私が自ら現場に入って話を聞いています。

 また、本部では早朝の時間を使って毎日、あいさつの訓練を実施していますが、私が率先して声出しをしています。別に私がやることが、訓練として意味があるかと言えば、実はあまりありません。けれども、「社長が率先してやっているんだったら、おれたちも負けずにやろう」という雰囲気が生まれてきます。それが新しい企業風土の醸成につながればいいと考えています。

インストア起点からアウトパック起点へ
ビジネスモデルを転換

──さて、社長直轄組織として、今期初にオペレーション改革室を新設しました。

寺嶋 オペレーション改革とは、サービスレベルの向上を図りながら、現場の従業員の作業を軽減し、時間内に終えるための改革です。実は当社の労働分配率は50%を超えており、非常に高い。この高い労働分配率のまま、新しいサービスをどんどん売場に導入していくと、従業員にさらに負荷がかかってしまいます。

 その解決を図るために、オペレーション改革室を新設したのです。たとえば、プロセスセンター(PC)で生鮮食品を一次加工する仕組みを整備したのも、売場のSKU数を削減したのも、それに合わせて売場づくりの方法を変えているのも、すべてオペレーション改革の一環です。また、イオングループ共通の自動発注システムであるODBMSも導入済みです。

 ただ現状では、仕組みが導入されただけにすぎません。現場と一緒になって、その仕組みを使いこなす段階にはまだ到達していません。また、商品供給方法の改善もまだまだ遅れています。

 新しい仕組みは、使う側にとっては当初、新しい負荷としか受け取られないものです。だから、負荷ではなく、仕事を楽に遂行するための便利なツールだ。ということを全従業員に理解してもらうことから始めています。現場とコミュニケーションを取りながら、使いこなせるように進めていきます。もちろん、オペレーション改革はお客さま満足に直結する取り組みでなければならないのは言うまでもありません。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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