店舗数、M&A、総菜、ネットスーパー。いよいよ拡大路線に=西友兼ウォルマートジャパンCEO

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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 お客さまの中には、家族と過ごす時間を増やしたり、コミュニティとのつながりに再度重きを置くような行動が見受けられます。「コミュニティを助けたい」「隣人を助けたい」「何かとつながっていたい」というような潜在意識が顕在化してきていると言えるでしょう。当社の中にも、「何かの役に立ちたい」とボランティア活動に従事する従業員が多くいました。そのモチベーションがわれわれの使命であるSave money. Live better.を実現するためのスピードを速めることにつながるのではないかと考えています。

 今回の大震災を契機に、当社の従業員は、今まで以上にお客さまに貢献したいという気持ちを持って仕事に臨んでいます。

──これまで以上にお客へ貢献するということは、Save money、つまりEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)に力を入れていくということですね。

スティーブ そうです。EDLPを深化してお客さまに貢献していきます。

 そのためにわれわれは常に基本的な営業哲学に基づいて行動しています。すなわちEDLC(エブリデイ・ロー・コスト)を実現することによって行うEDLPです。EDLCなくしてEDLPの実現はあり得ません。EDLCがEDLPにつながり、規模を拡大することでさらなるEDLCが可能となります。われわれはこれを「生産性のループ」と呼んでいます。

──これまでにもEDLCに注力してきました。コスト削減の余地はまだあるのですか?

スティーブ あります。2007年と2010年を比較すると、1人時当たりの売上は40%アップし、倉庫における1ケース当たりにかかる経費は36%下がっています。また、サプライチェーン全体における1人時がハンドリングできるケース数は50%以上改善しています。そういった意味では、規模を拡大し、継続して効率を改善していくことに関してはまだまだコスト削減の余地があると考えています。

EDLPに変更はない
「拡大」こそわれわれの文化

──さて、一般的に経営者が交代すると、企業の戦略そのものが変わることもあります。これまでの西友の戦略に変更はありますか?

スティーブ EDLPがわれわれのビジネスの核であるということに何ら変わりはありません。今後もEDLPに取り組みますし、そこに重きを置きます。

 今の質問に関して、ウォルマート創始者のサム・ウォルトンの言葉がふと頭の中に思い浮かびました。それは「個人が勝つのではない。チームが勝つのだ」というものです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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