マツキヨココカラ&カンパニー、時価総額がドラッグストア業界で首位となった理由とは
売上高の成長が利益拡大とOMO基盤強化に繋がる好循環を生み出すか
しかし課題もあります。とりわけ、9月までの既存店売上高はいまだ回復せず、増収率が低いことは気がかりです。
現在の株価水準の高さを踏まえると、同社は早々にこの高い利益率を維持しながら、人流・インバウンド回復を既存店売上高の底上げに繋げて増益率に弾みをつける必要があると思います。
こうして生まれる利益の余力を、顧客とのオンライン接点強化とOMO構築に充当し、販促とPB開発につなげることになれば、2026年3月期の目標であるグループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%への道筋が確かになるはずです。在庫回転率と資産効率の改善がもたらされれば申し分ありません。
株式市場は、同社のビジョンである「美と健康をリードするアジア有数のドラッグストア」に変貌する可能性を見定める段階にあると思います。
マツキヨココカラにとって重要な局面に入りました。統合効果を利益率の面でいち早く発現した同社の”ここから”の経営手腕に期待したいと思います。
ちなみに、この利益率改善は他のドラッグストア各社に対しても強いメッセージになったはずです。いつも述べていることですが、ホームセンターとドラッグストアは業界の統合がまだまだ進むと思います。スケールメリットをこれだけはっきり見せられた競合他社の反応が大いに気になります。
プロフィール
椎名則夫(しいな・のりお)
都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。
米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師
椎名則夫の株式市場縦横無尽 の新着記事
-
2024/09/24
クシュタール買収提案でセブン&アイがいますぐすべきことと3つのシナリオとは -
2024/08/19
円安修正で国内成長力に再注目!良品計画に広がるチャンスと課題とは -
2024/07/08
アインHD、フランフラン買収で変わる?株主総会の争点とは -
2024/06/07
連続増収増益途切れ、株価下落のニトリHDの意外な実態と今後 -
2024/05/09
小売業界新たなフェーズへ!平和堂の株価上昇が意味することとは -
2024/04/08
新中期計画は株主の期待に応えているか?好決算発表後、しまむら株価が下落した理由
この連載の一覧はこちら [60記事]
マツキヨココカラ&カンパニーの記事ランキング
- 2024-09-26上位10社でシェア8割!ドラッグストア市場規模&市場占有率2024
- 2015-03-15プチ・マドカとマツモトキヨシが仕掛ける郊外型ディスカウントドラッグ
- 2024-06-20現役ドラッグストア店員が分析するマツキヨ渋谷旗艦店の凄さと懸念
- 2024-09-111兆円企業が3社に! ドラッグストア売上ランキング2024
- 2024-03-13全5ブランド体制に!なぜマツキヨココカラはPB化粧品の開発を加速するのか?
- 2021-01-11激動の流通 #5 ドラッグストアの次なるターゲット
- 2023-09-14コスモス、アオキ、マツキヨ、ウエルシア、スギ…有力ドラッグ6店至近で激突!前橋の勝者は?
関連記事ランキング
- 2023-04-14イオンウエルシア九州のフード&ドラッグ新業態「ウエルシアプラス」1号店独占レポート!
- 2024-09-11コンビニ売上ランキング2024 業績好調の3強は独自の成長戦略進む
- 2023-11-01日本の卸売業150社ランキング2023を一挙公開!各社業績は軒並み好調
- 2019-10-22ホームセンター売上高ランキング!DCM、カインズ、コメリ…各社戦略を解説
- 2024-09-25市場規模拡大、寡占化進行!小売業12業態、最新市場規模&占有率2024
- 2024-09-10GMS売上高ランキング2024 イオン堅調もヨーカドー、ユ ニーは苦戦
- 2024-09-26上位10社でシェア8割!ドラッグストア市場規模&市場占有率2024
- 2024-09-12逆風続くもカインズは好調!ホームセンター売上高ランキング2024
- 2022-02-22「フード&ドラッグ」の最終形態へ?クスリのアオキの戦略、強み、新フォーマットを徹底解説!
- 2024-01-11クスリのアオキHDがM&Aを加速! ついに四国にも進出へ