EC絶対王者のアキレス腱!?アマゾンファッションが日本で存在感を出すために必要な戦略とは

河合 拓
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アマゾンファッションがとるべき戦略とは

 いくらファッション ECが伸びているからといって、とくに日本市場で並みいる競合を抑え、アマゾンがグローバル同一商品で勝てる、とは私は思わない。残念ながら、日本は「アジアのファッション・シティ」である。もっと正確にいえば、彼らのビジネスモデルは、日本での衣料品ビジネスは難しいということだ。彼らのモデルは、もっとAIを活用しデータに基づくMDの広がりで勝負すべきだから、結果的に、グロサリーやスマートホームに注力している戦略は正しいと思う。

  もし、さらなる事業拡大を狙い、最も伸びているといわれる衣料品で日本市場を攻略したいのであれば、ファッション商品は諦めるべきで、徹底してユニクロの研究をすべきだと思う。また、ローカライズを推進するため、日本人のアパレルヘッドに事業を任せること。つまり、同社は、グローバル同一商品を展開するLOUIS VUITTONGUCCIほどのプレミアム・ブランド力はないことを知るべきということになる。私であれば、ものづくりに長けた商社と組んで、日本のアパレルのマーチャンダイジングを導入し、そのままアジアの成長国に展開する「Tokyo showroom city 戦略」を推進すべきだろう。同社が人、金をつぎ込み、ノウハウを本気で内製化しようと考えるなら、私は十分可能だと思う。

  戦略とは絞り込みである。最も危険なのは、両者を中途半端にやるということだ。やるなら徹底的にやる。やらないなら、ファッションは今のままにしておき、モンスター・ECスーパーとして日用雑貨や生活必需品などを徹底して売り抜くべきだ。同社のこれからに注目したい。

 

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プロフィール

河合 拓(経営コンサルタント)

ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、政府への産業政策提言などアジアと日本で幅広く活躍。Arthur D Little, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナーなど、世界企業のマネジメントを歴任。2020年に独立。 現在は、プライベート・エクイティファンド The Longreach groupのマネジメント・アドバイザ、IFIビジネススクールの講師を務める。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/index.html

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