「デジタル化と小売業の未来」#2 買物プロセスの変化への対応は必須!消費者にとって買物はますます面倒に

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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実店舗の利用頻度は約2030%減少

 弊社が独自にアンケートを取った結果を見ても、買物を面倒に感じる人が増えていることが如実に現れる結果となりました。

実店舗の利用頻度の変化とその理由(株式会社いつも.調査)
実店舗の利用頻度の変化とその理由
調査対象:20代~60代までの男女各100名程度ずつ
回答数:1036人
調査方法:インターネットリサーチ
実施機関:株式会社マクロミル
実施期間:2020年03月11日(水)~2020年03月12日(木)

 コロナの影響が大きくなる以前に集計したアンケートの結果をまとめてみると、すでに2030%ほどが、「店舗の利用頻度が減った」と回答しています。想定される理由としては、店舗にいちいち行くことが面倒になっているという点が挙げられます。

 これまでは、服を買いにいくのにわざわざ遠くのショッピングモールへ行ったり、欲しいものを複数揃えるために別々の場所にある店舗を渡り歩いたりするなど、当たり前のように多くの移動時間を要していました。しかし、現在では欲しい商品をネットで比較して、何を購入するか決めた状態で店舗に行くということが増えているため、「移動時間を考えればそのままネットで購入してしまうほうがよい」と考えるようになっているのです。

商品を探すのも面倒に

 また、店員の接客が煩わしいと回答した人が約60%にも達しています。百貨店や家電量販店の方に話を聞くと、3~4年くらいで顧客の反応も変わってきたと言います。以前であれば、店員に商品の使い方や用途に合わせたオススメを聞くなど多くの質問があったのですが、今はそれも少なくなっているそうです。

 そもそもお客は商品を徹底的に調べてから来店するため、目当ての商品に関しては店員より詳しくなっていることが多々あります。そのため、来店して目当ての商品をピックアップすれば、すぐにレジで決済してしまう。アパレルでも、「お似合いですね」という当たり前に行われてきた接客も「うざい」と感じられ、回答者の実に約6割が不快感に繋がっていると回答しているのです。

 店員に聞くことと言えば、目当ての商品の陳列場所についての質問が大半で、これが「商品を探すのが面倒」という回答につながっており、店舗の利用頻度が下がっている4番目の理由として挙げられています。商品の場所がわからないこともそうですが、そもそもその店舗に取り扱いや在庫があるかもわからず「自分で探すのが面倒」なため、すぐに店員に聞くお客が増えているのです。しかし、店内を回遊している従業員の人数にも限りがあるため、客数の多い店舗などでは、色違いやサイズ違いがあるか店員を捕まえて聞くことも1つのストレスになっています。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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