数億円を売るYouTuber ヒカルにみる、日本におけるライブコマース成功のヒント

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
Pocket

日本でもライブコマースの認知が上がってきているものの、成功事例といえばYouTubeライブで圧倒的なフォロワー数を誇るようなインフルエンサーが商品の説明を行っているパターンです。これはYouTubeのリーチ力の高さが目立っているためで、他のプラットフォームではライブコマースという観点ではほとんど変化がありません。今後、日本においてライブコマースが日々の生活に浸透していくようになるためには、どのようなピースを埋めていく必要があるのでしょうか。

hobo_018/istock
hobo_018/istock

日本におけるライブコマースの実態

 日本のライブ配信を牽引しているInstagramYouTubeTikTokをライブコマースの観点から比較してみると、YouTubeは圧倒的にチャンネル登録者数が売上高を決定付ける結果となっています。自明の理ですが、視聴者数が多いほどライブコマースをやるとモノが売れるのです。

 最近では有名な話ですが、Youtuberのヒカルさんが企業とのコラボスニーカーで大きな結果を出したように、チャンネル登録者数が数百万人を超えるようなプレーヤーが数千万円~数億円を売るというかたちがYouTubeにおけるライブコマースの主力です。InstagramTikTokでは、逆にフォロワーの少ない方がライブ配信を行っており、ヒカルさんのように数億円という規模ではないものの、数十万円~数百万円を売る方が複数いるなど、規模的な違いがあります。

 さらに日本のライブコマースには2つの方向性があり、企業が発信者になってライブでモノを売るパターンと、個人が発信者になってモノを売るパターンに大きく分かれます。中国でうまくいっているのは後者なのですが、日本では今まで個人ではなく企業が発信を行っていました。楽天やメルカリなどさまざまな形で試みてきましたが、そのほとんどが大成功とは言えない結果となっています。この結果を紐解くと、日本のライブコマースの壁が顕著に現れているのです。

1 2

記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態