「デジタル化と小売業の未来」#6 ECの配送拠点に! リアル店舗の「倉庫化」を背景に激しさを増す“配送時間短縮合戦”
消費者の生活圏に配送拠点を持つメリット
消費者の生活圏に近いスーパーマーケット(SM)のようなリアル店舗をECの配送拠点として倉庫化することのメリットは、大量の商品をまとめて保管するために郊外や埠頭といった場所に立地している物流センターよりも大幅に配送時間を短縮できることです。発注から1時間ほどという短時間で商品を届けることも可能となります。
また、もともと実店舗だった建物を倉庫にリノベーションしていることから、アクセスのよい店舗が倉庫化されているため、消費者が直接商品を取りに行くことも容易です。このように「商品の発送場所兼受け取り場所」として倉庫化されたリアル店舗が増えているのです。
日本では大手の流通会社がECの配送を担っている場合が多いですが、アメリカでは単発で仕事を請け負う「ギグワーカー(Gig Worker)」と呼ばれる労働者が配送しているケースが非常に増えています。まさに「ウーバーイーツ(Uber Eats)」の“小売店版”のようなかたちで、倉庫化された店舗からSMやコンビニエンスストア(CVS)などの商品が配達されています。

日本のECでは、翌日配達が当たり前になりつつあります。その一方、アメリカは日本より国土が広いぶん、もともと配達に日数がかかっており、アマゾン(Amazon.com)でさえ平均2.5日を要します。しかし、最近ではアメリカでも消費者の要求するスピードは速くなっており、当日中や1時間後といった短時間での配達が求められています。「少しでも早く」というニーズに応え、配達日数の短縮に成功すれば、すぐに商品が手に入る実店舗での購入に近づくことになります。こうした背景から、顧客の生活圏に近いリアル店舗をECの配送拠点に転用する動きが拡大しているのです。
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