「デジタル化と小売業の未来」#6 ECの配送拠点に! リアル店舗の「倉庫化」を背景に激しさを増す“配送時間短縮合戦”

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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前回は、世界的にEC化率が急伸するなか、リアル店舗は「体験型店舗」となることで付加価値を提供できるというお話をご紹介しました。今回は世界的なトレンドになりつつある、リアル店舗の「倉庫化」について、アメリカの事例をまじえながら解説します。

Kiwis/istock
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EC市場規模世界第2位のアメリカ

 経済産業省が発表した「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、アメリカのEC化率は2020年の予測で14.5%と日本の6.76%19年の数値)より高く、カテゴリーによってはEC化率が20%を超えているケースも多くみられます。また、EC化が進行した産業の店舗型ビジネスは衰退や破綻が増えるとも言われています。

米国における小売市場規模(2018年~2022年)
米国における小売市場規模(2018年~2022年)

 実際、同調査の2020年のEC市場規模を見ると、アメリカは対前年比18.0%増の709.78億ドルと推計されています。この規模は中国に次いで世界第2位と非常に巨大で、アメリカではコロナの影響が出る前から多くの実店舗が閉鎖に追い込まれています。なかでもEC化率が20%を超えている書籍や家電、アパレル、スポーツなどのカテゴリーでは、よりいっそうリアル店舗の閉鎖が加速しています。

 こうしたなか、前回の記事でもご紹介した「体験型店舗」が生き残っているほか、リアル店舗をECの配送拠点として「倉庫化」する動きが注目されています。

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