アングル:FBやインスタ、偽ブランド品販売の穴場に

ロイター
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インスタグララムのアプリ
2月9日、米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。写真はインスタグララムのアプリ。2021年7月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

[ニューヨーク/ミラノ 9日 ロイター] – 米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はこのところ電子商取引に力を入れているが、同社のアプリを利用してグッチやシャネルなど高級ブランドの偽造品を売る行為が後を絶たず、「もぐらたたき」に追われている。

学者や業界団体、偽造品調査専門家らへの取材により、メタ傘下のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェイスブック」、写真投稿アプリ「インスタグラム」、メッセージアプリ「ワッツアップ」が、偽造品業者にとって販売の穴場になっている実態が浮かび上がった。

民間調査会社・クロールのマネジングディレクター、ベネディクト・ハミルトン氏は「フェイスブックとインスタグラムは、偽造品を一般人に売る主な市場だ。10年前には(電子商取引企業)イーベイ、5年前にはアマゾンがそうした場だった」と言う。

ソーシャルメディア分析会社のゴースト・データが中心となってまとめ、ロイターが独占入手した調査結果によると、売られている偽造高級ブランド品はグッチ、ルイヴィトン、フェンディ、プラダ、シャネルなど幅広い。

2021年6─10月の調査では、フェイスブック上で活動している偽造品業者のアカウントは2万6000件余り、インスタグラムで2万件を超えていた。インスタグラムの件数は前年より増えたが、2019年に記録した約5万6000件からは減っている。

21年に特定されたアカウントの約65%は中国に拠点を置いており、続いてロシアが14%、トルコが7.5%の順だった。

メタは最近、広告のための個人行動履歴の追跡を制限されたほか、ユーザーの伸び減速にも直面。このため収益拡大に向けて電子商取引サービスに最も力を入れており、偽造品販売には厳しく立ち向かう姿勢を示す。

インスタグラムによると、ディオールやバレンシアガ、ベルサーチなどがインスタのショッピング機能を採用しているほか、オスカーデラレンタやバルマンはアプリ内精算機能も使っている。

そうしたメタを悩ませ続けるのが、アプリを利用して偽造品を売ろうとするユーザーの存在だ。広報担当者は「新たなテクノロジーには偽造品販売と不正行為の問題がつきまとう」と述べ、日々対応を改善していると付け加えた。

 

犯罪者の隠れ家

定価5000ドル以上のハンドバッグを100ドルで買う消費者のほとんどは、自分が偽造品を買っているのを分かっている。だが、被害はブランドの売り上げやイメージにも及ぶほか、製品の安全性、組織犯罪との関わりも懸念されると専門家は言う。

メタがイーベイやアマゾン・ドット・コムなどの電子商取引サイトと異なるのは、閉鎖空間における投稿、ダイレクトメッセージの送信、インスタグラムの「ストーリーズ」など時間がたつと消えるコンテンツの利用など、SNS特有とも言える複数のルートを犯罪者に提供してしまう点だ。

国際偽造撲滅連盟のバイスプレジデント、ラーラ・ミラー氏は「偽造品業者にとって、格好の隠れ家が大量に生まれてくる。われわれは追い付くのに必死だ」と言う。

ゴースト・データの報告書によると、偽造品業者はワッツアップの「ビジネスプロファイル」オプションで利用できる「カタログ」機能などを使って製品を展示している。

ゴースト・データの創業者、アンドレア・ストロッパ氏は、外部サイトにリンクを貼るのではなく、メタのアプリ内で偽造品の販売手続きをすべて済ませる傾向が強まっていると言う。

一部の高級ブランドは、電子商取引サイトにせよソーシャルアプリにせよ、主要なオンラインプラットフォームが偽造品販売をうまく防げない可能性を疑っている。

欧州連合(EU)欧州委員会は偽造品販売の撲滅に向け、ブランド側と、メタを含む電子商取引サイト側との協力を強化する取り組みを行っているが、シャネルやラコスタは2020年、効果がないとして脱退した。

シャネルのフィリップ・ブロンディオー最高財務責任者(CFO)は昨年のインタビューで、フェイスブックやインスタグラムが「高級品を売るのに適した環境だとは思わない」と述べている。シャネルは化粧品と香水しかオンラインで販売していない。

経済協力開発機構(OECD)は、2020年から21年にかけての電子商取引ブームが偽造品のオンライン販売急増につながったと指摘。学者らは、コロナ禍中に不正行為が急拡大したが、欧米の法制度は対応できていないとしている。

シャネル、グッチ、プラダの3社は、昨年中に偽造品業者によるソーシャルメディアの投稿を数十万件発見し、削除させたことを明らかにした。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は当局への開示書類で、2020年に偽造品対策に3300万ドルを費やしたことを明らかにしている。同社はコメントを控えた。

メタの対応

メタの法律責任者はロイターに対し、電子商取引サービスの強化に際しては偽造品の取り締まりが鍵を握ると述べた。

同社は昨年10月、ブランドが投稿や広告、商取引機能内の偽造品を検索、報告するツールの最新版を導入した。また、違反行為を巡って苦情があれば通常、24時間以内に対応するとしている。

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