アングル:貿易摩擦で苦しむ中国企業、公的信用機関が下支え

2019/09/17 17:10
ロイター

上海の港の様子
9月12日、米中貿易摩擦の激化に伴い、中国の公的輸出信用機関である輸出信用保険公社(シノシュア)が輸出企業支援に乗り出している。上海の港で8月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

[北京/上海 12日 ロイター] – 米中貿易摩擦の激化に伴い、中国の公的輸出信用機関である輸出信用保険公社(シノシュア)が輸出企業支援に乗り出している。具体的には、安い料金の保険を提供したり、輸入関税を負担するのを嫌う、あるいは支払いができない米業者への督促を行っているのだ。

シノシュアが昨年以降、中国の輸出企業と積極的に保険契約に応じていることは、関係者の話や公式データから確認できる。

また貿易問題の専門家は、こうした政府支援が世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性や、トランプ米政権から異議を申し立てられる恐れがあると考え、事態を注視している。

シノシュアのデータや2人の同社関係者によると、昨年8月以降の新規顧客数が急増するとともに、一部契約では地方政府が保険料を払っているケースも見受けられた。

これらの輸出信用保険は、中国企業を米中両政府の関税の応酬で取引が台無しになるリスクから守ってくれる役目がある。

シノシュアのデータによると、昨年貿易摩擦が本格化するとともに同公社の保険金支払い額は40%余りも増えて、20億ドル近くに達した。同社内部の見積もりに基づくと、今年は関税が引き上げられることで保険金の支払いは一段と膨らむ見通しだ。

シノシュアのある幹部は、中国製品を購入する米業者の間でより高くなった関税を払う意思や能力のない向きが増加しつつあることが、保険金支払いの拡大につながっていると説明した。米業者のそうした状況を受け、一部の積荷が米国の港湾に放置され、中国の輸出企業が困窮している。

収益悪化

法律事務所ウィンテル・アンド・コーに所属し、通商問題で中国輸出企業の代理人を務めている上海の弁護士、ユージーン・ウェン氏は、シノシュアの支援がWTOの目を引くかどうかは分からないとしながらも、大々的に実行されればWTOの合意に違反するリスクが出てくるとともに、米通商代表部(USTR)が間違いなく問題視してくるとの見方を示した。

米輸入業者の代理人で国際法律事務所ハリス・ブリッケンのマネジングパートナー、ダン・ハリス氏は、シノシュアから関税支払いを要求されている問題で何とかしくれとの依頼が増えていると明らかにした。「貿易戦争が始まる前は、シノシュアからは4カ月から5カ月、1通のメールもこなかっただろうが、今は週に4、5通受け取っている」という。

シノシュアは、輸出企業支援についてロイターからの情報提供要請に応じていないが、最近の公表データなどで実態は分かる。昨年シノシュアが引き受けた保険の総額は6120億ドルで、前年比伸び率は16.7%と過去6年で最大を記録した。保険料の伸びが6%にとどまっているのは、多くの保険に非商業的な性質があることの表れだ。

保険金支払額は41%増の約20億ドルと18年来の最高水準に達したため、昨年の純利益は42%も減少した。

シノシュア関係者の1人は、主に米国の貿易摩擦激化によって今年の収益状況は悪化していると話した。

(Cheng Leng、Samuel Shen、Engen Tham記者)

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