22年8月1日・15日合併号 トライアルカンパニー
北海道から九州まで全国に約260店舗を展開する、トライアルカンパニー(本特集では原則として「トライアル」と表記)。近年はグループ全体で注力しているAI活用や、新しい買物体験を提供する「スマートストア」の出店など、デジタル領域の取り組みにスポットライトが当てられることが多く、「安さ」以外で店づくりや商品が注目を浴びることは少なかったといえます。しかし水面下では「生鮮強化」をテーマとした戦略を推進、それが結実し始め、「安さ」「品質」「品揃え」の3拍子が揃った魅力的な生鮮売場が展開されるようになっています。 生鮮強化を軸に、トライアルはなぜ大きな進化を遂げることができたのか…その背景と最前線を徹底取材しました。
編集後記
トライアルの生鮮がどんどん良くなっている──。九州地盤の食品スーパー(SM)トップからその話を聞いたのは昨年のこと。同時期に新店を取材し、その変貌ぶりに驚きました。 どう変貌したかは今号特集を読んでいただくとして、この進化が競合SMに与える影響は甚大です。生鮮食品の鮮度と高い加工技術で頻度高くお客を誘引し、高いオペレーション技術で利益を残すSMが、このなかで競争優位性を得るためには、より足元商圏の毎日の食卓ニーズに寄り添うとともに、技術をいっそう高める必要が出てくるからです。逆説的ですが、強いフォーマットの誕生は、淘汰だけでなくさらなる進化を促すとも言えそうです。
(阿部)
長年にわたり本誌で連載を続けてきた、樽谷哲也氏の「評伝・渥美俊一『革命一代』」が今号で最終回を迎えました。 最終回は連載ナンバリングを載せていませんが、通常どおり記載すると「第300回」となります。本誌は年間で22冊発行されますので、単純計算で連載期間は13年以上。本誌では断トツの長期連載でした。 私が前任者から本連載の担当を引き継いだのが2016年11月のこと。多くの業界関係者から昔日を懐かしむ温かいお言葉をいただきながら、毎号編集してきました。 本連載を支えていただいた読者の皆さまと、著者の樽谷さまに、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
( 小野)