コンフォートマーケット、店内在庫をスマホで確認!なぜ革新的だと言えるのか?

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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スマホを起点にリアルの買物体験を考える! 

 商品の在庫情報を開示するというコンフォートマーケットの試みは、スマホを起点に買物体験を再構築するものです。それはニュー・リテールとして注目を集めるアリババグループの「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」とも通じるものがあります。どちらもリアル店舗は売場というだけでなく、顧客の生活にほど近い倉庫という位置付けでしょうか。そういえば、コンフォートマーケットの1号店である中延店(東京都品川区)の外観は、どことなく倉庫のようなたたずまいです。

 フーマー・フレッシュとコンフォートマーケットでは違いもあります。フーマーは宅配にも力を入れますが、コンフォートマーケットはやりません。顧客に来てもらうだけです。日本では店から家までのラストマイルを埋めるコスト上の合理性にめどが立ちません。ネットスーパーがなかなか確立できない理由です。

 利用者にとっては、帰宅までのほどよい距離に店舗がある場合、自宅まで届けてもらうよりも店でピックアップした方が事は早く済みます。午後7時に帰宅する有職主婦が、8時までには子供の食事を済ませたいとしましょう。調理に20分、7時30分には食べ始めたいとして、ネットスーパーはその日に使いたい食材をピンポイントで届けてくれるでしょうか? 至難です。帰りに店に寄った方が確実ですし、コンフォートマーケットのような仕組みがあれば、一から買物をするよりも10分早く帰宅できるかもしれません。

 スマホを起点に買物体験を考える、これこそ未来の食品スーパーの方向性だと期待しています。来店頻度の高い業態だからこそ、買物体験は時間と場所の制約から解放されるべきです。

 

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