出店規制も懸念のダラーストア業態 高所得層にもリーチする新たなフォーマットとは

後藤文俊
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アメリカ小売業

長期化する“頑固”なインフレにより、何よりも安さを売りにするダラーストア業態が消費者からの強い支持を集めている。ダラーストア大手2社のダラーゼネラル(Dollar General)、ダラーツリー(Dollar Tree)の直近の業績はいずれも好調に推移。また、消費ニーズやトレンドの変化に合わせた品揃えの変化や新業態の開発なども進んでいる。

未曾有のインフレ下で成長続く大手2社

 “アメリカ版100円ショップ”と表現されることもあるダラーストアは、圧倒的な価格の安さを集客装置に成長を続けてきた業態だ。コロナ禍での景況感の悪化や、昨今の世界的な著しいインフレも強い追い風となり、米国の消費者の支持を集めている。

 ダラーストア業態の双璧をなすのが、ダラーゼネラルとダラーツリーの大手2社だ。このうちダラーゼネラルは今年3月時点で全米47州に1万9174店舗、ダラーツリーは隣国カナダを含め8134店舗を展開する。なおダラーツリーは2015年に同業のファミリーダラーを買収しており、同社は米国で約8200店舗を運営している。

ダラーゼネラル
最大手ダラーゼネラルは全米47州に2万店近くを展開する

 両社とも足元の業績は好調に推移している。ダラーゼネラルの22年度の売上高は対前年度比10.6%増となる378億ドル。既存店成長率は同4.3%増加で、32年連続のプラス成長を示した。一方のダラーツリーも、22年度の売上高は同5.9%増となる238億ドル(うちファミリーダラーの売上高は129億ドル)だった。

 話が前後するが、両社の店舗数(ダラーゼネラル、ダラーツリー+ファミリーダラー)を合わせると約2万7000。これは米国における「マクドナルド」「スターバックス」「ウォルマート」「ターゲット」の合計店舗数よりも多い。いかにダラーストアが米国の消費市場に広く浸透した存在かがわかっていただけるだろう。

 他方、記録的なインフレは追い風となりつつも、ダラーストアの価格政策にも大きな影響を及ぼしている。すでに大手2社とも「1ドル均一」ではなく、たとえばダラーゼネラルでは1ドル商品は全体の約2割にすぎない。ダラーツリーは昨年までの35年間にわたり全品1ドル均一を貫いてきたが、現在は1.25ドルにプライスポイントを上昇させている。それでも、あらゆる商品が値上げ基調にあるなか、ダラーストアの圧倒的な安さは他業態に対する強い差別化ツールになっている。

ファミリーダラー
ダラーツリーと同社傘下のファミリーダラーも米国およびカナダの広範囲に店舗網を構築

新フォーマット開発で高所得者層にもリーチ

 成長を加速するなか、ダラーストアは新たなビジネスモデルの構築も進めている。なかでも特筆すべきは、

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