米国市場で拡大する2 大ハードディスカウンター、アルディとリドルの明暗

在米リテールストラテジスト:平山幸江
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アメリカ小売業

いずれもドイツで創業したハードディスカウンターで、欧州では広く店舗を展開するアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)。米国では1970年代に進出し市場を開拓してきたアルディを、2017年に上陸したリドルが追いかけるという構図になっている。インフレ下でディスカウンターに対する需要が高止まりするなか、両者は米国でどのような戦略を描いているのか。

アルディ
米南東部で出店強化年内に2400店体制へ

 アルディは米国で2022年度に87店を新規出店、23年度にはさらに120店舗を出店する計画で、同年度末までに2400店舗になる見込みだ。これらの出店政策により22年度は940万人を新規顧客として開拓し、23年度は第1四半期(35店舗出店)だけで530万人を追加したとしている。

 アルディはとくに米南東部での成長が著しい。今年1月にはアラバマ州ロクスリーにある5万2400㎡のディストリビューションセンター(DC)内に地区本部を設け、ルイジアナ、アラバマ、ミシシッピ、フロリダの各州にある約100店舗を管理する体制を構築。今後800万人の新規顧客を獲得する意向だ。

アルディ
アルディは直近では米南東部での出店を強化、米国内の店舗は23年度末に2400店舗に到達する見込みだ

 この米南東部エリアではアルディだけなく、H-E-B、パブリックス(Publix)、グロサリー・アウトレット(Grocery Outlet)も出店を加速しており、このうちHEバットとパブリックスは小型店の開発にも力を入れている。

 米国ではコロナ禍で地方都市へ移住する大都市居住者が急増。ハイブリッド勤務や在宅勤務が定着したことで、そのまま地方都市に住み続けるケースも多い。気候が穏やかで、少し足を延ばせば自然に触れられる地方都市の新興住宅地が移住先として人気だ。そうした地域では移住者層のニーズを取り込むため、近隣型ショッピングセンターの開発が活発化し、そのキーテナントとしてアルディやH-E-B、トレーダージョーズ(Trader Joe’s)のような食品小売チェーンが出店する動きが増えている。インフレの影響もあり、アルディのような小型で商品価格の安いチェーンの誘致はとくに盛んになっており、同社にとっては出店拡大に追い風が吹いている。

EC領域におけるアルディならではの強み

 出店と並行して、アルディはECへの投資も強化している。

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