日常化するTOB、島忠の次はどこだ!?狙われやすい小売業とは

椎名則夫(アナリスト)
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TOB、狙われる企業の条件とは

  では、実際にTOBが増えるのか、潜在的な標的企業は多いのか。

  簡単なスクリーニングをする前に、島忠の置かれていた財務状況の特徴を列挙しておきたい。

  • 営業収益営業利益率は2019年8月期6.1%、2020年8月期6.3%で相対的に良好
  • ROA(総資産純利益率)は2.5%、2.7%で相対的に見劣り
  • 過去5年間、総資産は横ばい
  • 実質無借金
  • DCMによるTOB発表前の株価で見て、EV/EBITDA=約7倍。日本の上場小売企業の中央値は約10倍であり、市場の評価は低評価(なお、EV=株式時価総額+純有利子負債、EBITDA=営業利益+減価償却費とする)

 まとめると、島忠は、フローの収益力はあるものの、資産規模を生かしきれておらず、負債調達余力があるにもかかわらずそれを活用した成長戦略も採れていない、低稼働資産を減らし資産・資本効率の改善(およびそれに付随する株主還元)に大胆に舵を切っているわけでもなさそう、ということになる。これは、島忠の資産効率を引き上げるシナジーと成長の機会を提供できる買い手にとってはお得な買い物に見えるはずだ。

 

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