2024年問題で切迫!小売業の物流改革のゆくえと成功事例とは
物流危機が業界の連携を加速させる
中長期的な戦略や計画立案には、今後の国内物流の将来像や自動運転などの技術の進化も押さえておく必要がある。
このうち物流の将来像については注目の動きとして、2021年から政府主導で「フィジカルインターネット」構想が立ち上がり、40年の実現に向けて具体的なアクションが始まっている。
フィジカルインターネットを簡単に説明すると、荷物のユニット単位を、標準コンテナ等によって共通化。さらにRFID等でデータ管理可能にし、物流に関わるリソースを、業種業界を超えて共同利用することをめざすというものだ。「究極のオープンな共同輸送・配送」とも呼ばれている。これはひいては、業種業界を超えて全国で物流の標準化、連携を進めていくということだ。そのためには今後、異なる業種業界同士で議論するべく、まずは業界ごとに声を上げていくことが求められる。
こうしたなか食品小売業ではよい兆しが見られる。SM物流研究会は、業界自主行動計画を作成し23年12月に経済産業省に提出した。特筆したいのは、日本スーパーマーケット協会(東京都)、全国スーパーマーケット協会(東京都)、オール日本スーパーマーケット協会(大阪府)の3つのSM業界団体の共通の方針としてまとめ上げ、提出している点だ。物流危機が業界の団結、企業間連携を加速させている。
このように食品小売業の物流問題は24年が過ぎれば終わりではなく、24年を機に業界をあげて中長期的に取り組まねばならない問題であることがわかる。そして食品小売業界を大きく変革させる起爆剤にもなりうるものだ。業界全体でこれを好機ととらえ、変革を推し進めていきたい。
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