発電設備に企業間連携 攻めの姿勢で変わる小売業のサステナブル最前線!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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消費者の意識向上も買物行動には直結せず

 では、食品小売企業のサステナビリティが発展を遂げるなか、顧客である消費者のふだんの買物における意識は、どの程度高まっているのだろうか。本特集では、小売業向け調査やコンサルティング事業を展開するmitoriz(東京都)の協力を得て、サステナブルな買物行動の実態をつかむべくアンケート調査を実施した。

 その結果、「サステナブルな買物」を「意識している」「どちらかというと意識している」を合わせた回答者は半数を超えた。しかし、実際に店や商品を選ぶ段階になると、「一般的な商品より多少値上がりしてもサステナブルな商品を購入するか」という質問に対しては、明確に「購入すると思う」と回答したのは5%程度にとどまった。消費者のサステナビリティに関する意識は高まっていると言われるが、買物行動に直結するほど高い意識を持っている人はいまだ少数派のようだ。

 本調査では「サステナビリティ」に関心を持ったきっかけについても聞いている。すると回答では「企業の取り組みを知って」(20.8%)が、「メディアの影響」(38.5%)に次いで多かった。食品小売企業は、消費者に日常的に利用される特性を持つ。ゆえに、店舗や商品を通じた情報発信は消費者の意識喚起に有効だと考えられ、食品小売業が果たせる役割は大きいと言えそうだ。

 ここまで見てきたように、食品小売業のサステナビリティは急速に進化を遂げており、先進的な企業では、企業間連携や、積極投資も進めて、実際に業績向上につなげることに成功している企業もある。こうした“攻め”のアクションを実践できる企業と、そうでない企業では、競争力の差が生じることになりそうだ。

 本特集では、国内だけでなく欧米の事例も交えて、先進的な企業がいかに事業活動とともにサステナビリティを実践しているのか、組織体制やプロセス、課題を含めて紹介している。自社のサステナビリティを前進させる一助となれば幸いだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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