発電設備に企業間連携 攻めの姿勢で変わる小売業のサステナブル最前線!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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サステナビリティで業績を向上させる

 さらに今回の特集を通じて、食品小売業のサステナビリティは、さまざまな点で進化を遂げていることが見えてきた。

 まず、より事業の核となる部分でサステナビリティを実践し、業績向上を実現しようとしている。イオン(千葉県)は、グループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」において、24年2月期売上高目標に、対前期比10%増の1兆円の突破を掲げている。これを達成するカギとするのが、環境や安全・安心に配慮した「グリーンアイ」シリーズだ。なかでもオーガニック商品の需要が伸長しているとして、牛乳やワイン、冷凍野菜など、より身近で利便性の高い商品の開発を進め、現在の約3倍に当たる売上600億円、国内オーガニック市場のシェア30%を獲得しようとしている。

 大きな先行投資をしてサステナビリティに取り組む企業も出てきた。ライフコーポレーション(大阪府)は22年3月、約9億円を投じ、食品残渣を活用した発電施設「ライフ天保山バイオガス発電設備」(大阪府大阪市)を稼働。食品スーパー(SM)事業と大きく領域の異なる発電設備運営事業に乗り出した。現在、発電した電力を自家利用のほか、電力会社に売電するとともに、年間の食品廃棄1万3000tの外部処理に要していた大きなコストを削減することに成功している。

ライフコーポレーションの食品残渣を活用する発電施設「ライフ天保山バイオガス発電設備」
ライフコーポレーション(大阪府)の食品残渣を活用する発電施設「ライフ天保山バイオガス発電設備」。約9億円と攻めの投資で、発電設備運営事業に乗り出している

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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