これぞ差別化!米国小売に本当に学ぶべき店づくりの「姿勢」とは?

未来調達研究所:坂口孝則
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米国小売は「テキトー」?

 コロナ禍以降、久々に米国で小売店舗の視察を行った。ウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、アマゾン(Amazon.com)といった巨大チェーンからローカルの店舗まで、できる限り多くの店を回ってきた。

ウォルマート外観

 日本の小売関係者はこぞって米国へ視察に行き、「米国小売は先を行っている」と誰しもが言う。たしかにBOPIS(ネット注文品の店頭受け取り)をはじめとした先進的なサービスや取り組みが展開されてはいる。しかし個人的には、とくに地方部の店舗ではめぼしい施策はなかったというのが正直なところだ。品揃えもイマイチ、売場管理も雑で欠品だらけ。それでいて昨今のインフレで商品価格は急騰。700mlで5.5ドル(800円超)もするフレッシュジュースには驚いた。しかしそれでも売れているのである。ある意味、従業員1人当たりの付加価値(=収益性)は日本のはるか上を行っているといえるだろう。

 ただし、米国は食糧も原油もたっぷり採れる豊かな国であることを忘れてはいけない。また、労働者は常に高い収入を望んで転職を繰り返し、賃金も高い。極端な言い方をすれば、小売業はある程度“テキトー”でも成り立つ国なのだ。反対に食糧も原油も、さらに転職文化も欠如している日本にとって、米国の小売業から学ぶべきポイントは限られるのではないか。

特異な店づくりの向こうに見えるもの

 ただ、事業で得た利潤を迅速に、次なるビジネスに投入するダイナミズムは見習いたいところだ。今回の視察で目にした2つの事例を挙げたい。

 1つめは、

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