「ブルーノート」での演奏体験も!コト売りで業績伸ばす島村楽器の戦略とは

2023/11/20 05:59
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2年連続で過去最高売上を更新した島村楽器(東京都/廣瀬利明社長)。ECでの販売強化、人材育成、音楽教室拡大の3本柱で、経営を盤石にしてきた。店舗に委ねられていた人材育成を一新、楽器別の資格制度や階層別の研修制度を導入することで従業員のスキルアップを図っているほか、各地のニーズに合わせた音楽教室の開校、サントリーホールやブルーノート東京でのイベントを通して、顧客の心を掴んでいる。

人材育成を現場任せにせず会社で体系化

島村音楽教室
音楽教室でのレッスンの様子

 島村楽器には、創業者から受け継がれる哲学として「モノの前にコトを売り、コトを売る前に人を売る」という言葉がある。「たとえばギターが欲しいお客さまは、モノとしてのギターが欲しいのではなく、友人とバンドを組みたい、学園祭のステージに立ちたい、YouTubeで演奏を配信したいなど、やりたいコトがある。それを探って最適な楽器を提案するのが私たちの役割であると考えている」(廣瀬社長)

 この哲学は「ドリルを買おうとしている人は、ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ」というセオドア・レビットのドリルの穴理論に通じる。島村楽器では設立当初からソフト主導型の経営を柱として「音楽を楽しむ人を一人でも多く創る」ことを追求し続けている。しかし、それだけでは従業員の能力に頼るところが大きいように思え、むしろサービス提供面での課題となるようにも思える。「ある意味、人任せ、つまり現場任せになっていた側面は否めない」と廣瀬社長は振り返る。熱心な店長の下に配属されるスタッフは成長するものの、指導があまり得意ではない店長の下ではあまり人が育たない。そこで2つの打ち手を講じたという。

  1つ目は販売スタッフに対して楽器別の専門性を育成するための資格制度だ。食品スーパーなどでワイン、チーズといったジャンル別の資格制度の導入が増えていることを参考に、ギター、ピアノ、バイオリン、管楽器など、それぞれの楽器について、専門性の高い試験問題を社内で作成した。各楽器二段階の試験を段階的にパスする必要があり、社内の専門的な商品研修を受講するためには例えば初級試験の合格を条件にするなど、資格制度と社内研修制度もリンクさせられるようになった。廣瀬社長は「ギターだけに詳しかった販売スタッフがバイオリンを勉強して、自信を持って接客できるようになったり、逆もまたしかりという現象も見られた」と話す。

  2つ目は営業マネジャー、店長、副店長といった階層別の研修制度だ。研修そのものは以前から実施されていたが、単発的になりがちなことが課題だったという。それをあらためて、受講が必須となる資格取得講座や研修プログラムを体系化した。「たとえば営業マネジャーになったら、社内だけでなく、グロービスのMBA講座でマーケティングを学ぶなど、明確な研修カリキュラムを設定した」(廣瀬社長)。教育を現場任せにするのではなく、会社として1本筋の通った研修体系を作り、総合的に底上げしていく体制を整えた。

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