3年後500億円規模の売上めざす、バローHD、怒涛の関西戦略とは

下田健司
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「コングロマリットディスカウント」
との指摘に対する答えとは

 さらに、セグメント開示についても見直す。M&A(合併・買収)でグループが拡大した結果、グループの構造が複雑で成長性を評価しにくくなり、複数事業を持つ企業の価値が各事業の価値の合計を下回るコングロマリットディスカウントが生じているという指摘があるからだ。

 これを解消するため、機能子会社が属する流通関連事業セグメントの営業利益を小売各社に配賦する形に変更する。そうすると、例えばSMでは現在の営業利益率3.2%に、流通関連事業の営業利益率0.5%が上乗せされ3.7%になる。これにより同業他社との比較がしやすいようにするという。

 バローHD22年度(233月期)連結業績は営業収益7599億円(21年度比3.7%増)、営業利益200億円(同5.4%減)、経常利益230億円(同4.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益76億円(同15.7%減)と減益に終わったが、23年度に入ってからの業績は好調だ。

 上半期(4〜9月)は、営業収益3991億円(前年同期比6.5%増)、営業利益111億円(同16.5%増)、経常利益126億円(同13.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益66億円(同15.5%増)だった。SMバローの既存店売上高が前年同期から4.7%伸長したほか、DgS事業でも既存店売上高が5.9%伸長するなど売上が伸びたことで営業収益が前年同期に続き過去最高を更新。利益面では営業、経常ともに過去3番目の高水準だった。営業収益、各段階の利益は期初の計画数値を上回った。

 現中計の最終年度にあたる23年度は営業収益7720億円、営業利益205億円、経常利益233億円、親会社株主に帰属する当期純利益93億円を見込む。計画通りに着地できれば、中計の定量目標を達成することになる。

 次期中計は現在、社長直轄プロジェクトで策定中だ。小池社長は「HD本体を事業会社の後方支援にとどまらず、人事・財務・調達でグループ最適に導く形に変革していきたい」と言う。次期中計は小池社長の経営手腕を試す試金石となる。

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