百貨店を中心に永続性ある企業集団をめざす=天満屋 伊原木 一郎 社長

聞き手:下田健司
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多様な業種・業態権限委譲し成長へ

「天満屋ハピータウン鴨方店」(岡山県)の1階に入る「鴨方ショップ」
百貨店は、グループ会社の天満屋ストアの店内に「店外ショップ」として出している店もある。写真は、「天満屋ハピータウン鴨方店」(岡山県)の1階に入る「鴨方ショップ」

──天満屋グループとしての成長をめざすうえでのポイントは何ですか。

伊原木 グループの中で今後も百貨店が事業の核であることに変わりはありませんが、現在二十数社あるグループ企業のネットワークを積極的に活用することで、永続性のある企業集団をめざしていこうと考えています。

 当社の傘下には、多様な業種・業態の企業があります。クレジット業の天満屋カードサービス(岡山県/長原幸嗣社長)、ソフトウェア開発事業の岡山情報処理センター(同/齋藤忠幸社長)、人材派遣業のキャリアプランニング(同/友光弘社長)、運輸業のせとうちデリバリーサービス(同/大西弘昭社長)、警備業の山陽セフティ(同/中居正志社長)、旅行代理業の天満屋トラベル(同/黒川卓哉社長)、ホテル業の天満屋ホテルズ アンド リゾーツ(同/伊原木一朗社長)、各種スポーツ施設を運営する天満屋スポーツアンドジョイ(同/伊原木一朗社長)など、バラエティあふれる顔ぶれが揃っています。

 まずは今後、これらの企業の経営幹部と徹底的に議論を交わし、各社の位置づけとミッションを明確にしていきたいと考えています。それを通じて、百貨店を含めた各社の役割や方向性を決めていきたいところです。


天満屋は、傘下に二十数社のグループ企業を抱える。食品スーパー、旅行代理業、ホテル業、レストラン業など多様な業種・業態が揃っている

──グループ経営では何がポイントになりますか。

伊原木 グループ全体で成長するには、権限委譲が必要だと考えています。経営トップに入ってくる情報には限りがありますし、誤った判断をしないためにも権限委譲を進めていきたいと思います。そのうえで各社が現場で多様性を取り入れ、活発な議論をしたうえでスピード感のある、意思決定の高い質を伴った経営を実践していきたいと考えています。その意味では、私のような外部にいた人間が経営に加わったのも、多様性の1つと言っていいかもしれません。

──SMを展開する天満屋ストアでは会長に就任されました。

伊原木 天満屋ストアは、上場企業であるため、ほかのグループ企業とは位置づけが異なります。基本的には社長としっかりと連携しながら、会長としての役割を果たしていきたいと考えています。企業や店舗が実際にどのような状況にあるかについて今後、あらためて確認していきます。

 現段階で言えるのは、地域に根差した店づくりに力を入れていくということです。大手のSM店舗が増えていますが、日本全国、同じ食材ではお客さまに満足していただくことはできません。岡山県に本拠を置く企業として特色を出し、ひいきにしていただけるようなSMをめざしたいと思っています。

──天満屋ストアは、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)傘下のイトーヨーカ堂(東京都/亀井淳社長)と14年1月に資本提携し、同時にセブン&アイ、天満屋、天満屋ストアの3社で業務提携を締結しています。これをいかに発展させていきますか。

伊原木 提携関係のもと、天満屋がフランチャイジーとなってCVSの「セブン-イレブン」を展開しています。病院の中に売店としてCVSを出店したり、天満屋の小型店も併設するといった取り組みも進めています。病院内CVSでおもに扱うのは食品ですが、当社の小型店はバッグや衣料など入院に必要な商品や身の回りの品も揃えています。今後、提携関係のなかで、何ができるかを議論しながら、取り組みを強化し、また進化させていきたいと思っています。

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