百貨店を中心に永続性ある企業集団をめざす=天満屋 伊原木 一郎 社長

聞き手:下田健司
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1店1店が地域に応じた店づくりに取り組む

天満屋「岡山本店」
天満屋の「岡山本店」。世界のトップブランドを集積させ、よりクオリティの高い商品の提供と、時代の最先端をいくトレンド、ライフスタイルを提案する

──グループで中核の百貨店の方向性についてどのように考えていますか。

伊原木 当社の営業戦略においては、マーチャンダイジング(MD)と店舗開発という、2つの大きな柱があります。いずれも基軸とするのは、「地域社会への貢献」です。この基軸のもと、地域のお客さまに喜んでいただける百貨店になれるような店づくりに取り組んでいます。当社の百貨店は、地域に根ざした店づくり、MDが特徴です。人間も一人ひとり個性があるように、店舗も異なる個性を創造したいという点から、店舗のある各地域のお客さまのニーズに応じたMDを実践しています。

 現在、当社は中国地方に7店の百貨店を展開していますが、1つとして同じ店舗はありません。1店1店が地域に応じた店づくりに取り組んでいます。「岡山本店」(岡山県/売場面積3万2904㎡)では、世界のトップブランドを集積させ、よりクオリティの高い商品の提供と、時代の最先端をいくトレンド、ライフスタイルを提案しています。「広島アルパーク店」(広島県/同2万6511㎡)や「米子しんまち天満屋」(鳥取県/同1万8398㎡)は、本格的郊外型の百貨店として全国でも先駆的な店舗で、日常生活の色合いが濃い地域へにぎわいを提供し続けています。「広島緑井店」(広島県/同1万6425㎡)は、日常生活に密着したデイリーユースの品揃えや店づくりに力を入れています。

 ほかの店舗も同様にそれぞれ“表情”が異なります。どの地域の店舗でも、お客さまの声に耳を傾けながら、マーケット特性を入念に分析します。その結果を店舗開発、売場構成、さらに自社開発商品などのかたちで具現化しているのです。

──百貨店としての天満屋の強みはどこにあると考えていますか。

伊原木 高質な商品、サービスはもちろんですが、多様な文化の発進拠点としても機能してきたところだと自負しています。とくに、文化の発信拠点としては、創業の地である岡山県にまだ市民会館がなかった時代から、店舗内に演芸場をつくったり、地元の焼き物、備前焼を紹介し陶芸品として全国的に知名度を上げたりといった活動を続けてきました。こうした活動によって地域の文化レベルの向上に貢献してきた企業として評価をしていただいています。

 スポーツ支援にも積極的に取り組んできました。地域での数々のスポーツイベントへ協賛するだけでなく、1992年に設立した本格的実業団チーム、「天満屋女子陸上競技部」は、数多くの国際大会や世界選手権、オリンピックへの出場を果たすなど、国内有数のチームへと育ちました。さらに地元のアスリートを支援する方針のもと、地元大学と協力してNPO法人「桃太郎夢クラブ」を設立し、日本トップレベルのコーチが指導するランニング教室も開いています。

 これらはほかの業態、あるいは企業にはないわれわれの魅力であり、強みであると思います。今後も同様の活動を継続していく考えです。

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