マーケット縮小、競争激化、変化に対応できる企業が生き残る=ヨークベニマル 大髙 善興 社長

構成:大木戸 歩
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商品やサービスでグループシナジーを追求

──セブン&アイグループとしての取り組みについて伺います。プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」のプレミアムライン「セブンゴールド」が好調です。SMでのPBの販売動向はいかがですか。

大髙 加工食品や日配品というカテゴリーの中でみれば、対前年比25%増(全店ベース)で推移しています。ただ、販売額で見れば400億円程度に過ぎません。セブンプレミアムは全体で6500億円超の売上がありますが、その7割以上をセブン-イレブンの売上が占めています。

 PBの商品開発については、今期はあまり新商品を出さない計画です。今ある商品を見直して、お客さまに繰り返し買っていただけるような商品にブラッシュアップしていく。アイテム数が多いことよりも、繰り返し買っていただけるリピート率が重要です。リピート率が落ちてきたら、商品を見直すタイミングだと思います。1アイテムで3億円売れる商品に育てたいですね。

──PBに加えて、セブン-イレブンでは100円のレギュラーコーヒー「セブンカフェ」が爆発的にヒットしました。ヨークベニマルでもインストアベーカリー売場内に「セブンカフェ」の機器を設置しています。

大髙 セブンカフェは、グループで1日1店舗当たり平均101杯売っています。コーヒーだけで年間600億円を超える規模です。

 当社ではセブンカフェをインストアベーカリーに併設させていますが、今後はドーナツをもう少し安くして、イートインスペースで夫婦二人、200円でコーヒーが飲めるようにしたいですね。大型改装を実施した鹿沼睦町店(栃木県鹿沼市)では、イートインスペースにコーヒー専門店のような椅子を導入し、がらりと雰囲気を変えました。

 コーヒーはここ数年で、マーケットが大きく変化しました。お客さまの舌が肥えてきたのでしょう。コーヒー売場では、かつてはインスタントコーヒーが販促の目玉になっていましたが、近年はスティックタイプやカプセルタイプのコーヒーが伸びています。

──昨年末に鈴木敏文会長が、グループのオムニチャネル戦略を打ち出しました。SMとしては、どのような取り組みが考えられますか。

大髙 今、グループ各社が専任者を出して議論しているところです。

 ひとつは、セブン-イレブンのカウンタービジネスをSMでも導入できればと考えています。公共料金の支払いができ、セブン銀行のATMで24時間お金を下ろせるサービスは、非常に便利ですね。

 宅配ビジネスについては、センターから出荷するビジネスを模索しています。イトーヨーカ堂(東京都/戸井和久社長)のように店舗から配送するには、バックルームのスペースが足りないし、天候によって需要が大きく変わるのでは対応しきれません。生鮮食品を扱うとしても、品目を限定し、確実に対応できるような仕組みをつくりたいですね。

 一方では、東北地方は過疎の問題が進んでいきますので、そうした地域に対応した社会貢献事業にも対応してかなくてはいけませんね。

 また、赤ちゃん本舗(大阪府/佐藤好潔社長)やロフト(東京都/内田雅己社長)の商品を、当社が取り次いでお客さまに届けられるようなシステムも検討しています。今年1月にグループ入りした通販のニッセンホールディングス(京都府/佐村信哉社長)のカタログを店舗で配布していますが、実は当社のドミナントエリア内からの注文がいちばん多いそうです。オムニチャネル戦略としては、さまざまな面からグループシナジーを追求していきます。

ヨークベニマル
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