ドラッグストアの針路 #1 プロローグ

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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市場規模10兆円も達成可能?!

  「価格が安いから」(62.8%)、「商品の種類・選択肢が豊富だから」(39.9%)――。企業間EDIやデータベースを運営するプラネット(東京都)が2019年に実施した「ドラッグストアに関する意識調査」の中の設問、「ふだん、ドラッグストアを利用する理由」には、そのような回答が集まっている。

 消費者がドラッグストアに求めているのは、コンビニではなかなか実現できない「価格」あるいは「品揃え」といった小売としての“領域”のようなものであるのかもしれない。実際、ドラッグストアのなかには、コスモス薬品(福岡県)やGenky DrugStores(福井県)のように、食品の品揃えと低価格販売を武器とするチェーンが勢力を急拡大している。

 コロナ禍でマスクなど購入するためにドラッグストアでの買物を一度経験したお客が今後リピートすることが予想される。業界内では「(現在約7.7兆円の)市場規模は近いうちに10兆円を超えるだろう」という観測もある。

 まさに向かうところ敵なしの様相のドラッグストアだが、アフターコロナになってもこの勢いを維持することができるのか。コンビニや食品スーパーといった他業態との競争をどう勝ち抜いていくのか。次回以降も本連載では、各社の取り組みを通じて、ドラッグストアの針路について考えてみたい。

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