ドラッグストアの針路 #1 プロローグ

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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このところのドラッグストア業界は、まさに順風満帆である。日本チェーンドラッグストア協会によると、2019年のドラッグストアの市場規模は対前年比5.7%増の7兆6859億円。新規出店とコロナ禍による“マスク特需”などもあって市場規模はさらに拡大するよ予想されている。近年は食品強化型のフォーマットの展開で、食品スーパーやコンビニエンスストア(コンビニ)といった他業態からお客を奪取するプレイヤーも増えており、ドラッグストアの勢力はとどまるところを知らない。ドラッグストアに死角はないのか。連載で動向を追ってみる。

ドラッグストア
写真は2015年5月に都内のドラッグストアで撮影(2019年 ロイター/Yuya Shino)

「2分の1ルール」の見直しで潮目が変わる?

 いま、ドラッグストア業界では大きな課題が浮上している。政府の規制改革推進会議がまとめた「当面の規制改革の実施事項」の中で、一般用医薬品販売の「2分の1ルール」の見直しが進められているからだ。

 「2分の1ルール」とは、医薬品の販売時間内を営業時間内の2分の1にするというもの。現在行われている議論では、現行の規制を見直し、営業時間に関係なく販売時間を一定とし、コンビニのような長時間営業の店舗での医薬品販売を実現しようとしている。

 現行のルールの場合、コンビニなどで一般用医薬品を販売する場合、登録販売者を複数雇用しなければならない。コンビニを経営するオーナーにとって、一般用医薬品はニーズがあること分かっていても、雇用の確保、あるいは人件費の増加などが障害となる。今回の規制緩和が実現すれば、複数の登録販売者や薬剤師を雇わなくても済む。

 医薬品にニーズのありそうな時間、たとえば18時から24時まで一般医薬品を販売できるとなれば、コンビニにとって大きな商機となることは間違いない。新規客の取り込みにもつながるだろう。
 
 ドラッグストアからすれば、“儲け頭”のである一般用医薬品の売上高が減ることが想定され、痛手になりうるが、「痛痒を感じない」(ドラッグストア関係者)という声もあり、許容範囲の規制緩和と言えなくもない。

 コンビニにとって、一般用医薬品の販売はここ数十年来の要望というより“切望”に近い。コンビニ各社が要望しているのが、「遠隔システムを活用し、有資格者とコミュニケーションをとりながら一般用医薬品を販売する仕組み」だが、こちらは乗り越えるハードルが少なくなく、「実現の可能性は低い」(ドラッグストア関係者)という声もある。

 

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