「ECは安上がり」の大勘違い 5億円売上げるためのマーケティングコストは1億円を超える事実

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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ますます業績悪化に歯止めが掛からないアパレル業界で仕事をしていると、未だに基本が分かっていない「感覚経営」に出くわすことが多い。その最たるものがECだ。彼らはいう。「リアル店舗は、金が掛かる。什器を買わねばならないし人も雇わねばならない。ECであれば、ホームページを格安に立ち上げて、買い物かごをつけてシステム料を払えば、後は商品を送るだけ。ECでビジネスをしよう」と。この恐ろしい勘違いを正していきたい。

Tevarak / istock
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「小売」を舐めている製造業や商社

 冒頭の発言は、卸問屋やメーカーなどによるもの。著名なコンサルタントの指導を受け、「今の小売に任せても安売りされるだけだから小売を飛ばしてやろう」と考え、実行しているのだ。

 その結果は酷いものだ。彼らはいずれも、適当な計画でホームページを格安につくり、大赤字に陥っている。利益がでているところは皆無に等しい。

 かくいう私も、もともとは商社出身でものづくりが専門だったから「安売りされるだけだから自分たちで売ろう」という気持ちは分からないでもない。しかし、20年前にコンサルタントに転身してから、SPAアパレル、リテーラーの仕事がメーンとなり、いかに自分が「小売ビジネス」を舐めていたか、「小売ビジネス」の難しさと技術の高さを嫌というほど学んだ。

 ではなぜECが難しいのか、そして、億円単位の費用がかかるのか、解説しよう。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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