第43回 ドラッグストアの核カテゴリーの作り方

有田英明
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ルネサンスメインイメージ有田

競合はカテゴリー単位で発生する。したがって魅力のあるカテゴリーは商圏人口が拡大する。一方、魅力の欠けるカテゴリーは商圏人口が縮小する。急所は、核カテゴリー、準核カテゴリー、補助カテゴリーと分類することで、競争力と経営効率のバランスをとることである。

カテゴリーの目的来店性の強化

 小売業の目的来店性には以下の3つがある。第1は「コンビニエンス」である。

 手軽で便利な買物の場(売場)である。生活必需品が揃っていて、わかりやすくて買物しやすい売場である。

 第2は「ディスカウント」である。生活必需品の安さが求められる。

 第3は「スペシャリティ」である。生活必需品だけでは豊かな生活は実現できない。つまり高品質な生活向上品の提案である。

 ちなみにコンビニエンスとディスカウントはベーシックゾーンマーケット(顕在需要の生活必需品)であり、スペシャリティはスペシャリティゾーンマーケット(潜在需要の生活向上品)である。

 目的来店性はドラッグストア(DgS)の歴史を振り返ると理解しやすい。

 1980年代はDgSの黎明期であった。この時代はコンビニエンスという目的来店性だけで差別化できた。

 当時DgSの主な競合店は薬屋であった。薬屋のことを単一部門構成小売業という。基本的に薬しかないので、買物が不便だ。一方DgSは複合部門構成小売業である。

 つまりDgSは「薬屋よりもハウスキーピングニーズの買物が便利」という部分でお客が来店したのである。当時はDgS同士の競合はほとんどなかったので、手軽で便利という目的来店性によって伸長できたのである。

 90年代後半になると「コンビニエンスという目的来店性」だけでは差別化できなくなってきた。

 この頃からDgS同士の競合が発生し始める。それまでは商勢圏ごとにDgSは1社で実質的に独占状態であった。そこに競合DgSが進出するようになったのである。

 DgSはナショナルブランド(NB)商品が中心であり、わが店も競合店も品揃えは8割ぐらい同じである。品揃えでは差別化しにくい。そこで差別化として安売り=ディスカウントに取り組んだのである。コンビニエンス+ディスカウントという2つの目的来店性の時代である。

 2010年以降は競合がさらに激しくなる。またデータ分析の普及と高度化から、わが店も競合店も品揃えが似てきた。結果、コンビニエンスとディスカウントだけでは差別化できなくなった。

 10年以降、一部のDgSはコンビニエンスとディスカウントに加えて、第3の目的来店性である

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