改革進むも課題は山積…… 上場総合スーパー売上ランキング2020

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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ECや有力専門店の台頭、ライフスタイルの変化などを背景に、苦境が続く総合スーパー(GMS)業界。大手各社はエリアカンパニーを再編したり、傘下の小売事業を集約したりすることで立て直しを図ろうとしているが、GMS再生に向けた明確な打ち手はまだ掴めていないのが実態だ。最新の上場GMS売上ランキングを見ていこう。

改革奏功するも、残る課題

 GMS業界のトップに君臨するのは、国内小売最大手のイオン(千葉県)グループ企業だ。2020年2月期における、イオンリテール(千葉県)、イオン北海道(北海道)、イオン九州(福岡県)などをはじめとしたGMS事業の営業収益は、対前期比0.3%増の3兆705億円、営業利益は同37.3%減72億円。GMS事業の営業収益の約66%を占める中核事業会社、イオンリテールの営業収益は2兆1925億円(同0.3%増)、営業利益は56億円(同52.0%減)だった。

 「一つの屋根(GMS)の中で、あれもこれもマネージしていくのはハンデがある」

 イオンの岡田元也会長は、GMS事業の現状をこう説明する。

 イオングループでは、自転車用品専門店の「イオンバイク」、ペット用品専門店の「イオンペット」、さらに靴専門店の「ジーフット」といった具合に、各取り扱いカテゴリーをそれぞれ分社化させ、グループのGMSやショッピングセンターに出店をしてきた。

 これは、GMSの各カテゴリーをスピンアウトさせ、各分野で競争力を高めていくという挑戦。コロナ禍の影響もあってか、計画の推進状況は明らかにされていないが、昨年の時点では、2020年に20程度の商品分野の機能を分社化するという方針を打ち出している。

 2位はセブン&アイ・ホールディングス(東京都)傘下のイトーヨーカ堂(東京都)だ。長年、構造不況から抜け出せないでいる同社は、不採算店の閉鎖を進める一方で、直営部分を縮小しテナント比率を高める「テナントミックス」によるGMS活性化を進めている。

 こうした取り組みが奏功し、20年2月期決算においては、営業収益こそ1兆1851億円(同4.1%減)と減収となったものの、営業利益は65億円(同38.5%増)と増益を果たしている。ただ、利益率(0.5%)という面では課題が残っており、さらなる改革が待たれるところだ。

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