第5回 食育や教育を通じてSDGsに取り組む!競合との差別化にも=マルイ
食の専門家を育成
食育活動のほか、マルイではテーマに掲げる「人材育成」にも力を注いでいる。そのなか、3年前に立ち上げたのは、自前の教育機関「マルイアカデミー」。従来、マルイの教育制度は「新入社員研修」「マネージャー研修」など、階層別のメニューが中心だった。これに対して新設したマルイアカデミーは、食に関する公的資格を取得する従業員に対し、金銭的に支援するというものだ。
そのねらいを同社総務・人事部人事課の真木亮子マネージャーは次のように説明する。「SM企業として、食の専門家を育成したい。また自ら目標を定めて勉強、行動する、“自走型”人材を増やしたいと考えている」。
マルイアカデミーのもと2018年度は、調理師やふぐ処理師、登録販売者、日本さかな検定、薬膳コーディネーターといった免許や資格などを143名が取得した。社員だけでなくパートタイマーも対象としているのも、特筆すべき点である。
この施策は従業員の仕事に対するモチベーションにもつながっている。接客時、お客から聞かれたことに対し、自信をもって対応できるようになったという従業員は少なくない。またこの3年間で、新卒者の離職率は約10%低下、定着率も向上している。
あらためてマルイが事業展開する中国エリアの競争環境に目を向けると、年々、厳しくなっているのが現状だ。同業態の有力SMが増えるほか、食品の扱いが大きいドラッグストア、またディスカウントストアといった異業態が存在感を増している。
そのなか、今回、紹介したようなSDGs、またCSR活動に関する取り組みは、低価格以外の価値を訴求、従業員満足度を上げるという側面を持ち、競合店との差別化にも力を発揮しそうだ。
この項、終了。次回は12月27日公開予定。