7期連続で既存店売上高対前期比プラス成長中=ビッグ・エー上高正典社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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7期連続既存店売上高がプラス成長

──新店を積極的に開発する一方で、02年度から08年度まで7期連続で既存店売上高対前期比が伸び続けているというのは驚異的ですね。

上高 われわれは、とくに既存店のお客さま数を伸ばすことに注力しています。02年度から08年度まで一貫して伸び続けています。その伸び率も、たとえば03年 度は既存店対前期比で14.4%増、04年度同7.2%増と高い伸びを示していますし、06年度以降も既存店のお客さま数は06年度4%増、07年度 3.1%増、08年度2.6%増と着実に増え続けています。09年度も順調に伸びており、第1四半期も同2%増で推移しています。これがいちばんの財産で す。

──すごく価値があるのは、この間、デフレもインフレの時代もありましたが、そうした環境下で一定して客数が増え、既存店売上高対前期比がプラスであり続けている点です。

上高 これを実現できた要因は大きく2つあります。実はこの間、われわれは首尾一貫して商品価格を引き下げ続けてきました。ただし、一気に「何百品目値下げ!」 という派手なものではありません。取引先さまとの条件交渉と当社の仕入れボリューム増大等によって値下げは可能になるわけですから、月に4品目とか、多く て10品目という地道な活動です。その、“コツコツと毎月価格を下げ続けている姿勢”をお客さまにご評価いただけたのだと思っています。

 もう一つは商品コンセプトを、安全第一に切り替え、野菜をすべて国産に切り替えたことです。一部商品では売価が上がるものもあり、社内で反対もあ りましたが、売上が1.3倍に増えました。私は日本の食品小売業では、“野菜の鮮度感と価格のバランスがよい会社”が栄えると思っています。だから、その 点をいち早くお客さまに認知していただけたのだと思っています。その後、他の商品も順次国産化を進めており、直近では、主原料も副原料もすべて国産という 国産100%の商品のアイテム数が324SKUで全アイテム数に占める割合が12.1%にまで高まりました。

──SKU数についてですが、社長就任時は1000SKUだったと聞きます。現在、2500SKUありますが、どのような意図を持って、どのカテゴリーを増やしてきたのですか?

上高 お客さまの消費頻度を第一に考えてやっています。かつて当社は、LADSという業態に固執し過ぎていました。お客さまのニーズが毎年どんどん変わっている のに、それに合わせずに、1000SKUと決めたら1000SKUしか置かなかったのです。業態論は大事ですが、“お客さまの食生活の中でどの部分をわれ われが担うのか”のほうがより大事です。

 ただGMS(総合スーパー)やSMのように、選択の幅を広げてお客さまの来店頻度を高める戦略とは当然違いますか ら、消費生活に必要だけれども当店に不足しているもの、という切り口でアイテムを追加していきました。

──ただし増やしすぎても、その商品が売れなければ商品回転率は下がり、ロス率も上がってしまう、そのさじ加減は大変難しいのではないですか。

上高 私が来たばかりのころ、1000SKU数しかないのに、ロス率は0.57%もありました。これは1万SKU以上品揃えするSMのロス率と変わらないひどい 水準です。その後当社は、SKU数を徐々に増やしながら、逆にロス率も徐々に引き下げていきました。ここ数年は0.2%を下回る水準を保っており、09年 度もその範囲内でコントロールできています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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