キリン堂、再登板の寺西豊彦社長が方針発表効率一辺倒の経営から脱却する

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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 キリン堂は5月11日、寺西豊彦常務取締役が昇格し、社長に就任。新たな体制でスタートしている。2009年以降、寺西豊彦社長(当時)に代わり、会長兼務で寺西忠幸氏が社長を務めていたが、寺西豊彦氏が再度、キリン堂のトップとして登板し陣頭指揮を執る。

 同社では03年9月、当時副社長を務めていた寺西豊彦氏が社長に就任。効率運営を志向しチェーンオペレーションを強化、大手DgSの一角を担い順調に業容を拡大していった。06年以降はニッショードラッグの買収など、M&Aによる規模を拡大。しかし、収益面では期待された効果を見ることができず、営業利益率は他のDgSの後塵を拝し、1~2%台で推移。競合環境が厳しさを増すなかで生産性向上が大きな課題となっていた。

 業績向上への社内改革を進めるため、09年5月には、創業者である寺西忠幸会長が社長を兼務するかたちでトップに就任。「抜本革新」を経営の基本路線に掲げ、それまで運営の柱としていたチェーンオペレーションによる効率優先の経営スタイルを見直した。寺西豊彦新社長体制でも、その基本路線を引き継ぐとしており、「本部の中央集権によって、店舗が指示を基に動くという運営方法から転換する。地域に根差し地域に貢献できる店舗となるため、店舗も主体性をもって、より地域に入り込むことができる経営を実践する」(寺西豊彦社長)という。

 方針説明では、地域生活者の医療に関するファーストコンタクトステーション、医療を提供する拠点としてのDgSの機能強化を図るとし、商品分野では未病や漢方をテーマとしたPB開発を進めるほか、好調に推移する調剤事業を推進し、医療機関との連携を図ることで、今後の事業拡大の基礎づくりを図る。

 マツモトキヨシホールディングスとの間で実施しているPBの相互供給は、現時点でマツモトキヨシからキリン堂へ80アイテム、キリン堂からマツモトキヨシへ21アイテムを供給。同社では全売上高に占めるPBの構成比を10%(12年2月期8.9%)まで拡大することとしており、オリジナルアイテムやマツモトキヨシからのPB供給が増える可能性は高い。

中期計画の遂行で経常利益率3%を目標に

 引き続き構造改革を進めるなかで、既存店活性化策として売場改装を急ピッチで進めている。カウンセリング時間を創出するため、コモディティ商品に対するセルフサービス売場を徹底するほか、新自動発注システムを順次導入していくという。売場改装はすでに全315店舗中150店舗で実施済み、新自動発注システムは115店舗で導入済みだ。

 抜本革新を進め、キリン堂では今期から15年2月期までの中期3カ年計画で経常利益率3%をめざすとしている。13年2月期は売上高1053億円(経常利益22億1000万円)、14年売上高1107億2000万円(経常利益29億5000万円)、15年売上高1165億7600万円(35億2900万円)を見込む。

 ちなみに、この間の出店は、DgSが13年2月期/10店舗、14年/10店舗、15年/15店舗の予定で、12年実施の10店舗と合わせ、新規出店分売上高で114億円を見込む。また調剤店舗は13年/4店舗、14年/3店舗、15年/3店舗を予定し、新規出店分の売上高で33億円を見込む。

 今後のM&Aでは、これまでのようなDgSの買収に限らず調剤薬局の買収も視野に入れており、その場合、買収した既存の調剤店舗にDgSを併設するかたちで、出店するパターンも増える見込みだ。

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