ファストリ、ニューヨークにも「世界本部」設置で、推進するグローカル戦略とは

フリーランス:西岡克
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ニューヨーク本部を機能強化、世界経営を加速

 また米国の最先端のITやグローバルの物流ネットワークなど、最新の技術を取り入れ、新しいビジネスの構築を東京本部と一体となってつくり上げる。組織づくりにも着手した。

 全社の経営方法も根本的に変える。「本部や各国の経営者、各機能の責任者が世界中を自由自在に移動し、互いに連携し合い、時に東京やニューヨークの本部に集まり、意思疎通をして、また各地に散っていくという働き方に変えていく」と柳井会長は語る。

 このため、9月1日付でユニクロのグローバルCEO(最高経営責任者)にグループ上席執行役員でユニクロ米国CEOだった塚越大介氏を起用。同COO(最高執行責任者)に日本事業のCOOなどを務めた若林隆広氏が就任した。グローバルCEOとCOOは日常的に世界を移動し、各国の経営者とともに現場に直接入り込み、その場で即断・即決・即実行、各国の課題を解決していくという。

北米や欧州を年間30店の出店ペースに

 今期はグローバルで年間310店と前期比約3割出店数を増やす。中華圏全体では年間100店の出店を継続する。北米では今期は10店、欧州では路面店を中心に5店の新規出店を予定しているが、来期以降はさらに出店を加速し、将来は両エリアとも年間30店の出店ペースに引き上げる。いずれは全世界で年間400~500店を出店する。

 北米では5年後の27年8月期に売上高3000億円、欧州では売上高5000億円に拡大し、いずれも営業利益率20%をめざす。

 北米では東海岸や西海岸を中心にショッピングセンター内店舗やグローバル旗艦店などを出店。5年後200店体制をめざす。欧州では今期、ロンドンに商品開発チームを新たに立ち上げる。欧州でニーズがある商品や欧州発でグローバルに売れる商品の開発を本格的に進める。また地域旗艦店を未出店国や都市に広げる。ラストワンマイルを含めた配送の内製化、24時間以内のお客への配送を進め、最終的にはすべての大都市で自社配送を実施する。

 柳井会長は「各国でローカルの集合体であることとグローバルであることを両立させることが必要だ」と話す。また一方で「今後は個々の店舗が大きく変化する。店舗の持つ意味は、オンラインでは不可能なことの提供だ。デジタルの技術を確保しつつ、店舗は磨き上げられた最高の体験をお客さまに提供する場所になる。買物の場所から“実体験”の場所へ進化することが必要だ」とも述べた。その実現のため「とくに日本国内では、個々の店舗の強みをより明確に発揮するための大胆なスクラップ&ビルドを行っていく」という。

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