大手百貨店初!大丸東京店に登場した売らない売場「明日見世」が担う新たな百貨店モデルとは

野澤正毅
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東京店のほかのフロアや他店にも出店の可能性

 明日見世のプロジェクトは、大西氏が「オーナー」として統括しているが、その下にプロジェクトリーダー以下、10名のスタッフがおり、それぞれ事業戦略やプロモーションなどを担当している(アンバサダーも含む)。メーカーが出展を申し込んでくる場合もあるが、明日見世のプロジェクトチームが、出展テーマに合わせて出展者をセレクト、交渉するケースが多いという。

 「スタートアップのD2Cブランドが出展すれば、当社がリーチしにくいミレニアル世代やZ世代の集客も期待できる。一方で、D2Cブランドにとっても、当社が得意とする40代以上の客層を開拓できるといった、利点がある」(大西氏)。

 2022112日~45日の第2弾では、『「私とあなたの個性」とであう』をテーマに、環境に配慮し、サステナブルな考えをもとに制作されたライフスタイル雑貨やファッションアイテムに加えて、パーソナライズ・カスタムビューティーアイテムやフェムケアアイテムなど注目の 19 ブランドを揃えた。

カスタムメードのヘアケアアイテム、フェムケアアイテムなど19ブランドを揃えた。約3カ月ごとに出展者を入れ替え、1年経過した時点で手ごたえを確かめたうえ、「事業をどのように成長させるべきか、方向性を決めたい」と、大西氏は抱負を語る。

 明日見世は現在、大丸東京店の1フロアのみの展開だが、今後は大丸松坂屋百貨店内の店舗、パルコなどのグループ店舗、さらには、「グループ外への単独出店」(同)まで視野に入れる。

 一方で、現在の出展者はスタートアップがメーンだが、「ゆくゆくは大手メーカーさんと組んで新商品の先行案内、テストマーケティングなどでも、明日見世を活用できるようになればと考えている」(同)と、明日に向けての夢は膨らむばかりだ。

デジタル事業開発部長
デジタル事業開発部長の大西則好氏

 B8taを代表例に「売らない店」が増えているなか、百貨店の持つ接客力や信用、40代以上を中心とするリアル店舗を訪れる顧客基盤という資産を生かせる点が、大丸松坂屋百貨店が「売らない店」を行う上で、独自の強みだと言えそうだ。

 

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