生成AIは食品小売をどう変えるのか?

解説・文:McKinsey and Company パートナー:櫻井康彰、McKinsey and Company パートナー:Tiffany Kwok、McKinsey and Company アソシエイトパートナー:福島章顕
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日本の食品小売を取り巻く環境は大きく変化してきている。グローバル食品小売のホットトピックから今後重要となるテーマをシリーズで論じる。グローバル食品小売では、生成AIをはじめとしたテクノロジー、SPA(製造小売)モデルへの転換、ウェルネス事業の拡大などが重要なトピックになっており、今回シリーズを通じてグローバルのトレンドを踏まえ、日本の食品小売企業に提案したい。初回は生成AIの影響と活用方法だ。

生成AIのもたらす経済効果、日本の小売で最大2兆円

 生成AIはかつてないほどの速さで「AIの民主化」を進めている。ChatGPTに代表される対話型AIは、質問を投げかけるだけで回答を得ることができ、文章だけでなく画像なども生成できるため、さまざまなビジネスへの活用が急速に進んでいるからだ。機械学習に関する専門知識がなくても、誰でも気軽に利用できる点で従来のAIと大きく異なるのが特徴だ。

Supatman/istock
生成AIはかつてないほどの速さで「AIの民主化」を進めている(Supatman/istock)

 マッキンゼーは2023年、グローバルで全産業・全機能別に生成AIの経済効果を独自に調査・分析をした。その結果、グローバルにおける生成AIの経済効果は約400~650兆円と推計している(1米ドル=150円換算)。中でも、日本における経済効果は34年時点で、26~45兆円だと推計している(図表❶)。

 業界別に見ると、小売業界に対する効果は1~2兆円規模と推計されている。これは、小売企業各社にとっては売上対比で約1.7~2.8%の利益インパクトに相当する。

 機能別に見ると、マーケティング領域のインパクトが

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