買って応援、売って力に=百貨店、にぎわう北陸物産展―売り上げ一部被災地に

時事通信社
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多くの客でにぎわった京王百貨店新宿店の「石川・福井 物産と観光展」
〔写真説明〕多くの客でにぎわった京王百貨店新宿店の「石川・福井 物産と観光展」=1月29日、東京都新宿区(時事通信社)

 能登半島地震の被災地を買い物で応援しようと、百貨店で北陸の物産展がにぎわいを見せている。出店できなくなった能登地方の店舗も少なくないが、売り上げの一部が被災地に届けられるとあって、「何かできることを」と多くの客が来場。被災を免れた事業者も「復興の力になりたい」と、呼び込みに熱が入る。

 京王百貨店新宿店(東京都新宿区)は1月24日から29日まで、石川県と福井県の物産展を開催した。北陸新幹線延伸を機に昨年企画したイベントで、震災は当然想定外。輪島塗の店など、能登の4業者は出店取りやめを余儀なくされた。

 しかし来場客は「想定より多い」(広報)。すし店や総菜店には行列ができ、早々に完売したケースも。木彫りの「獅子頭」を販売していた知田大芽さん(28)は、「輪島塗が大変な状況で、伝統工芸の仲間として一助になりたい」と話した。

 阪急うめだ本店(大阪市)が毎年恒例の「旨し、美し。金沢・加賀・能登展」を開いたのは、地震発生から間もない1月11日から。「悩んだ末の開催」(阪急阪神百貨店)で、出店を断念したケースもあったが、食品や織物など無事だった在庫や原材料を変更して作った商品を並べた事業者もいた。出店者からは「お客さまから励ましの声をいただいた」などの声が寄せられたという。

 震災後に企画した催事も今後相次ぐ。高島屋横浜店(横浜市)は今月8日からのバレンタインデーのイベントで、「能登大納言」と呼ばれる小豆などを使った和菓子を急きょ販売。伊勢丹新宿店(東京都新宿区)は、被災を免れた輪島塗の即売会を21日から開く。出品する大工治彦さん(36)は、「この催事を復興への第一歩にしたい。生き残った漆器を多くの人に見てほしい」と話している。 

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