インバウンド効果鮮明=地方でも回復基調―基準地価

時事通信社
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(i-stock/izusek)

 国土交通省が19日発表した2023年の基準地価は、全国的にコロナ禍による落ち込みからの回復を印象付けた。特に観光地では、水際対策の撤廃によるインバウンド(訪日客)増加で店舗需要が高まるなど効果が鮮明に表れた。地方でも大都市を中心に回復基調が続き、郊外都市にも住宅需要が波及している。

 木造の伝統的な街並みが残り、国内外の観光客が訪れる岐阜県高山市。中心部の商業地では、コロナ禍の21年に10.9%、22年に3.2%と下落が続いたが、今回は9.8%のプラス。国内だけでなく海外からの客足も戻り、新規のホテル建設も計画されるなどして上昇に転じた。

 京都市の伏見稲荷前、大阪市の道頓堀地区の商業地なども同様で、国交省担当者は「インバウンドに人気の観光地は需要が戻ってきている」と言う。

 地方では、札幌、仙台、広島、福岡の4市の住宅地で、引き続き中心部でのマンション開発などが進み、価格がさらに上昇。その影響で、割安感のある周辺のベッドタウンにも需要が広がった。

 例えば、札幌市の通勤通学圏内にある北海道恵庭市の住宅地は全国4位の上昇率(29.0%)を記録。同省担当者は「道内各地からの人口集中により、札幌市内では需要に対する供給が不足し、周辺都市に波及している」と分析する。

 一方、地点別に見た場合、全調査地点の半分以上はコロナ前の19年の価格を下回っており、回復度合いに地域差も生じている。

 今年5月に震度6強を記録するなど近年地震活動が活発な石川県珠洲市では、住宅地、商業地ともに下落率が全国最大に。他にも人口減少や高齢化が進む地域では、コロナ前からの下落基調に歯止めがかかっていないのが実態だ。

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