卵値上がり、小売りに波及=1月卸値37年ぶり高水準

時事通信社
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1月の卸値は37年ぶりの水準に上昇しており、価格が落ち着くには時間がかかりそうだ。(i-stock/krblokhin)

 「物価の優等生」と呼ばれてきた卵の値上がりが続いている。鶏の餌代の高騰と鳥インフルエンザの大流行に伴う卸売価格の上昇がスーパーなどの小売価格に波及し、家計の負担はじわじわと増している。昨秋からの鳥インフルの流行は春まで続く。1月の卸値は37年ぶりの水準に上昇しており、価格が落ち着くには時間がかかりそうだ。

 農林水産省が毎月公表している食品価格動向調査によると、卵の全国平均小売価格は1月に1パック(サイズ混合、10個入り)当たり244円と、過去5年間の1月の平均価格と比べ13%上昇した。昨年12月と比べると3%の値上がりとなった。

 卸値は一段と上昇している。JAグループの鶏卵販売専門会社、JA全農たまご(東京)が19日公表した卸値の基準値(Mサイズ、東京地区)は前日比10円高の285円と、1月としては1986年以来の高水準。卵を産ませる採卵鶏の飼育農場で鳥インフルが最近発生した影響という。

 1月の卵の価格は例年、クリスマスなどで需要が増える12月より値下がりする傾向にある。しかし、今季は鳥インフルの発生件数と殺処分数が共に1シーズンとして過去最多を更新中で、とりわけ採卵鶏の殺処分数が1000万羽を超えている。今年1月以降、大規模な採卵鶏農場で鳥インフルの発生が相次ぎ、供給が一時滞ったことが1月の価格を異例の高値に押し上げている。

 農水省は生産者らに対し、安定供給の確保へ卵を産ませる飼育期間の延長などを要請。1~3月にかかる餌代の緊急支援を検討しているが、価格への影響は見通せない。 

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