これからの小売業にとって「社内インフルエンサー」の育成が重要となるワケ

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
Pocket

商品の理解度は社内人材のほうが高い

 その主な理由の1つが、やはり社内の人間のほうが自社の商品やブランドの理解度が高くなるからです。どんなに優れた外部インフルエンサーにPRをお願いしても、あらかじめ用意しておいた台本以外に商品の説明をすることは難しく、ライブ感が求められる配信などではそこに大きな情報の差が生まれてしまうのです。とくにメーカーは商品に込めた気持ちなどを「ちゃんと伝えたい」という思いがあります。そのため、社内インフルエンサーの育成段階から商品開発やブランドコンセプトの構想に関わらせて深い知見を獲得させるか、あるいは配信の際には商品やブランドの開発者を社内インフルエンサーの傍らに置いて、一緒に説明できる状態が理想です。

外部インフルエンサーと社内インフルエンサーのそれぞれのメリット
外部インフルエンサーと社内インフルエンサーのそれぞれのメリット

 外部インフルエンサーは高い集客力を持っていても、商品の魅力をアドリブで説明することはできません。たしかに、「使ってみてよかった」といった消費者感覚を伝えることには適していますが、商品に込められた想いや背景、こだわりのポイントなどを発信することはどうしても難しくなってしまいます。一時的なキャンペーンの紹介などであれば一定の効果が期待できますが、消費者に商品やブランドをしっかり理解してもらうためには、やはり外部ではなく社内の人間が情報発信したほうがよいのです。

1 2 3

記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態