イトーヨーカ堂の命運握る「総菜SPA 戦略」と戦略拠点の全貌とは

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
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セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)傘下で、同社およびイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)が出資するPeace Deli( ピースデリ:東京都/和瀬田純子社長)は、グループ食品戦略のもとで共通インフラを運営・管理する機能会社だ。グループを横断した差別化商品の供給と店舗の課題解決を通じて、魅力ある売場づくりをサポートするとともに、「製・販」の連携によって顧客が求める商品をタイムリーに提供する役割を担っている。

「イトーヨーカドー」「ヨーク」の約200店舗に商品供給

 ピースデリは2021年、セブン&アイが中長期の成長戦略の1つとして掲げる、イトーヨーカ堂をはじめとするスーパーストア(SST)事業と、コンビニエンスストア(CVS)事業における「食分野のシナジー追求」を実現するため、グループ共通の製造インフラの整備を担う事業会社として設立された。

 首都圏での事業集中を進めるSST事業においては、プロセスセンター(PC)やセントラルキッチン(CK)といった製造インフラの不足が課題だった。後述するピースデリの「流山キッチン」の稼働時の会見で、セブン&アイ常務執行役員の石橋誠一郎氏は次のような主旨の指摘をしている。「『イトーヨーカドー』などSST事業の店舗は、インフラを持たなかったがゆえに店数を増やせず、一方でインフラを保持していた競合は出店を加速してきた」。

 グループ共通のインフラを持つことで、店舗の生産性向上を図りつつ、品質の高い商品を安定的に供給する仕組みを確立する。そこではただ商品を製造・供給するだけでなく、原料の調達や部門間での共有、商品開発までを担い、SPA化を志向する──。これがピースデリ設立のねらいと、同社のミッションというわけである。

 ピースデリは23年3月、グループ初の共通インフラとして、精肉や鮮魚などの加工を行うPC「流山キッチン」(千葉県流山市)の稼働を開始した。さらに同年11月、イトーヨーカ堂の精肉PCを承継するかたちで、「杉戸キッチン」(埼玉県杉戸町)を開設、そして24年2月には、総菜のCKと精肉のPCを併設させた「千葉キッチン」(千葉県千葉市)を稼働している。これら3拠点から、首都圏にある「イトーヨーカドー」「ヨーク」の約200店舗のほか、24年2月に「セブン-イレブン」の新コンセプト店としてオープンした「SIPストア」への商品供給を行っている。

千葉キッチン外観
ピースデリ3番目の製造拠点として稼働した「千葉キッチン」

総菜SPA化を具現化する千葉キッチン

 3拠点の機能を詳しく見ていくと、

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ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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