ロカボは1日の血糖値が安定する朝食から始めるのがベスト

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低糖質で必要な栄養素が摂れる、ロカボプラスマークが続々

 ロカボマークに続いて、21年には新基準としてロカボプラスマークも誕生した。ロカボプラスマークとは、従来のロカボマークで規定された糖質量の条件に加え、たんぱく質や食物繊維の含有量など、5つの条件のうち1つ以上を果たした商品のみに付与される。そのため、ロカボプラスマークの商品を選べば、糖質を抑えながら、不足しがちなたんぱく質や脂質、食物繊維も摂ることができる。

 この新基準に認定された初の商品が、マツキヨココカラ&カンパニーのオリジナルヘルスケアブランド「matsukiyo LAB」。持続可能な低糖質ライフをサポートする「サステナブルロカボライン」として21年5月にチョコレートやビスケットなどの菓子類からスタートし、22年秋には主食カテゴリーのオートミールを発売。23年秋には糖質28.5gのパックごはんを発売した。ごはんの糖質を抑えることで、副菜で糖質を摂ることができ、より豊かな食事メニューを楽しむことが可能となる。

マツキヨココカラ&カンパニーの「サステナブルロカボライン」
マツキヨココカラ&カンパニーの「サステナブルロカボライン」
「うまみギュッ!食感プリッと!お魚ソーセージ」
ウエルシアの「うまみギュッ!食感プリッと!お魚ソーセージ」

 ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局は、プライベートブランド「からだWelcia・くらしWelcia」から、お魚ソーセージ「うまみがギュッ!食感プリッと!お魚ソーセージ」を23年10月に発売。糖質は13.2gで、たんぱく質は19.6gと、低糖質で手軽にたんぱく質が摂れる商品となっている。

 そのほかにもロカボプラス認証商品は広がっており、成城石井では、22年4月よりオンラインショップ限定で冷凍弁当「成城石井やまだ式ロカボBento」を発売。主菜・主食・副菜2品をワンプレートディッシュのお弁当にしたもので、味も量も満足感のある仕上がりを追求した。山田氏が1食あたりの糖質量とたんぱく質量を、味は同社のセントラルキッチンのシェフが監修している。冷凍状態で宅配されるため、ストックしておけるので、忙しい時の食事として最適だ。

「成城石井やまだ式ロカボBento」
成城石井の「成城石井やまだ式ロカボBento」

 外食チェーンにおいても糖質制限の食事が広がっている。牛丼チェーン店の「すき家」では、22年10月に外食業界初となるロカボプラス認証を受けた「お食事サラダ」の販売を開始した。ワンプレートで満足感を得られる商品で、レタスやブロッコリーなど6種類の野菜に、十六穀米や自家製ベーコンをトッピング。メーンの食材は牛肉とチキンの2種類から選べる。いずれも糖質を抑えながらたんぱく質も摂取できる商品だ。

すき家の「お食事サラダ」
すき家の「お食事サラダ」

 一方、ゼンショーホールディングスは、京都大学大学院農学研究科と共同で「外食低糖質メニューおよび中食低糖質メニューが食後血糖値に及ぼす影響」に関する研究を行った。その結果、「すき家」で販売している低糖質メニュー「牛丼ライト」を摂取した際、今回の試験で使用した中食低糖質弁当や中食通常弁当に比べて食後血糖値の上昇が抑えられたことを確認した。「牛丼ライト」は、ごはんの代わりにゆずぽん酢をかけた豆腐とサラダを使ったヘルシーな牛丼で、糖質を気にする人から好評となっている。

すき家の「牛丼ライト」
すき家の「牛丼ライト」

 さらに牛丼チェーンの松屋では、23年9月から定番定食からライスを抜いたものを「ロカボライフ応援メニュー」として販売を開始した。糖質制限をおいしく楽しく続けていくために、外食や中食などでもこうしたロカボ商品やロカボプラス商品を取り入れていくことが重要となる。

低糖質を実践することで、アスリートのパフォーマンスが向上

 食・楽・健康協会では、ロカボをさらに普及させていくために、新たな切り口の取り組みを行っている。その1つが、アスリートのパフォーマンス向上のための食後血糖値の啓発活動だ。

 「さまざまな疾病の根底にあるのは食後高血糖です。血糖値の乱高下は細胞膜レベルで体を不安定にさせます。食後高血糖を予防すれば、集中力が途切れることなく、パフォーマンスを向上させられます」(山田氏)

 23年シーズンに糖質の摂り方を見直したのが、福岡ソフトバンクホークスの左腕、和田毅投手だ。22年シーズンまで登板前日に炭水化物を多く摂る「カーボローディング」を実践していたが、ここ数年は登板日の朝に目覚めると、体がかなり重く感じることが続いたことをきっかけに、山田氏から栄養の摂り方のアドバイスを受けてロカボ生活を実践。23年シーズンはカーボローディングを一切やめ、炭水化物の摂取量を抑えた結果、登板日の体のだるさはなくなり、投球イニング数が伸び、1年間ケガなく過ごすことができたそうだ。

 「若い頃は食後血糖値がそこまで上がる人は少ないが、年齢を重ねると血糖値はさらに上がりやすくなります。40代くらいになると、少なくとも2人に1人は血糖異常が出ると考えられています」(山田氏)

 アスリートを通して糖質制限の大切さを伝えて、「すべての人が健康で幸せな生活が送れること」を達成していきたいと山田氏は考えている。

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記事執筆者

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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