青果売場2023年春夏の売場づくりのカギとシーズン販売計画書の作り方

解説・文:オフィス・フジイ:藤井俊雄
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相場や品質の変化が激しい青果。2023年の春から夏は、販売計画を練り、商品理解度を高め、相場高によって大きくなった昨年の売上をいかに上回るかがキモとなる。本稿では23年春から夏の青果部門の商品政策(MD)におけるポイントを解説する。

「シーズン販売計画書」が販促には不可欠

 社会がアフターコロナに向けて動き出すなか、食品スーパー(SM)各社では、コロナ特需が収まり、新型コロナ流行以前の環境に戻りつつある。

 そうしたなかで、SM各社の売上高は前年割れとなった企業が多い。一方で青果部門においては、昨年度の商品相場高により、売上を伸ばした企業も少なくない。ただ、それをベースに23年度の予算が組み立てられるとなると、とくに今年の春から夏にかけては予算達成が厳しい状況になることが予想される。

図表❶2022年5~9月 卸売市場売上高対前年同期比

 こうした環境下における23年の春後半から夏の販売戦略を考えていこう。春後半から夏にかけての野菜は春の山菜、初夏のラッキョウのほかは季節感を打ち出しにくいが、果物は初夏から旬を迎えるものが増えるため、緻密な販売計画を策定する必要がある。

 さて、ここで青果部門の販売構成比を月度単位で見てみよう。野菜部門では一番高いトマトの構成比が10%強で最も高い。果実部門では、桃、サクランボ、メロン、スイカ、ブドウなどは単品で20%前後となり、単日の販売実績では30%を超える場合もある。さらに春のイチゴなどは月間で30%を超える場合もあるため、チャンスロスを起こすと挽回ができない。したがって月度単位の販売計画のほか、販売期間の長い主力果実においては販売期間を通じた販売計画書「シーズン販売計画書」の作成が必要だ。

 シーズン販売計画書とは、単品が出回り始めてから終了するまでの1~3カ月、長いものだと6カ月程度の期間を通じた単品の販売計画書だ。内容は前年同期の販売結果と反省、今季の目標売上高、品種や商品特性などの商品知識、産地動向、販売期間、期間中の品揃えの変化、販促計画、売場展開計画などが記載される。

 加工食品であれば価格改定がない限り売価は変わらないが、青果物は相場変動で売価は変わるため販売数も変動する。シーズン計画書を作成することにより、長期にわたって販売している果実などの商品の販売戦略が明確になり、販売不振時の対策が立てやすくなる。

 情報のアンテナを張ってシーズン計画書を作成し、昨年度の反省資料の活用や、商品情報の把握をすれば、青果物の販売は難しくない。今年の春から夏の販売で注意するポイントをうまくつかみ、対策を立てることが重要だ。

基本数値を理解し対応策を立てよう

 また、計画書を作成するにあたっては、基本数値についても理解しておくべきだろう。青果物の販売のベースは商品個々の販売数値から成り立っていることは承知のことと思うが、その前提として、市場前年実績や、家計消費支出(図表❷、❸)などを

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