初心者向けにPB開発、マツキヨがメンズメイク市場に参入した理由 

久保佳那
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調和を重視するZ世代。メイク経験者が増えればメンズメイク市場も広がっていく

「卒アル写真館 by iisam」の様子
「卒アル写真館 by iisam」の様子

 iisam20234月から販売を開始し、同社が店舗で販売している男性用メイクアイテムの中でもトップ10に入るなど、売れ行きは好調だ。

 また、発売直前の3月には「卒アル写真館 by iisam」というイベントを開催し、70名以上のZ世代男性が集まった。本イベントはメイクの先生をゲストに呼び、製品を使ってメイクをしてもらって参加者で写真を撮るという内容だ。

 「20233月に高校を卒業した方たちは、コロナ禍によって高校時代をずっとマスクで過ごした世代。マスクを外していこうという流れがある中、卒業を記念してマスクを外し、メイクして写真を撮り楽しんでもらえればと考えた」(和田氏)

 最初は緊張の面持ちだった参加者も、写真撮影後には満足度が上がった印象だったという。「今後もiisamを使ってメイクをしたいという感想を多く聞いた。この経験を通じて、メイクに興味がある男性にとっても、メイクのハードルは高いことも実感。男性が当たり前にメイクすることに、この商品が貢献できたらと思う」(同)

 今後の商品展開については、様子を見ながら判断していくと櫻井氏は話す。「Z世代の特徴として、周囲の目や評価を気にして調和を重視する傾向があるという調査がある。そのため、メイクに興味はあるがイタい奴だと思われたくないという人もいるのではないか。裏を返せば、周囲がメイクするようになれば、自分もやってみたいという意識に変わる可能性が高い。そんなときに手に取りやすくチャレンジしやすい商品を提供することが大事だと考えている」

 同社では、商品ごとに『商品DNA』というデータを算出している。例えば、Aという商品を購入する人は情報感度が高くて、メンズコスメに興味があるなどの意識に関する情報が得られるのだ。こうしたデータを活用して、メイクに興味がある男性にiisamを訴求していく。

 「10年後に男性がメイクをして出勤するのが当たり前という時代になると信じている。10年後に、あのときiisamを開発してよかったという未来にしたい」(櫻井氏)

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