青果市場、鮮度や機能性、簡便性などニーズに沿った提案を強化

ライター:上明戸 聡
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青果部門は、ヘルシー志向のトレンドの中で、品揃えを強化するチェーンが多いカテゴリー。店舗が発信する食提案の重要な一翼を担っている。とくに最近は、鮮度、機能性、簡便性などをテーマにさまざまなMDが強化される傾向にある。最近オープンした新店の事例を見ていこう。

テーマを設定したコーナー展開で、情報性の高い売場を展開

 最近の新店では、鮮度や品質へのこだわりをわかりやすく訴求し、目に付きやすい売場を展開する事例が増えている。

 大型複合施設内にオープンした「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」では、店舗に「フレッシュライフファーム」コーナーを設置。鮮度を訴求する意味では究極的なかたちとして、店舗で栽培したサラダ野菜を販売する試みを導入した。

セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店の「フレッシュライフファーム」コーナー
「フレッシュライフファーム」コーナーで、ロメインレタスなどを栽培。鮮度のよい野菜を提供する/セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店

 また、カスミの新業態店としてオープンした「BLANDEつくば並木店」では、店頭にアイランド型の青果作業場を設置。目に付きやすい売場で、フルーツ加工などの作業を見せることにより、ライブ感を演出する。

BLANDEつくば並木店のフルーツコーナー
目に付きやすい店頭で展開するフルーツのオープンキッチン。フルーツデザートづくりなどの作業を見せる/BLANDEつくば並木店

 「ヤオコー和光南店」では、エンドに工場野菜コーナーを設置。ボードを掲げて、衛生面の利点や、ムダが出にくい点など、多様な情報発信を行う。

ヤオコー和光南店の密閉交換で衛生的に栽培できる「次世代型農業」を提案する工場野菜コーナー
密閉交換で衛生的に栽培できる「次世代型農業」を提案する工場野菜コーナーを設置。特徴を訴求する/ヤオコー和光南店

 「サニー福岡桧原店」では、「夏野菜セット」「きのこセット」など、買い得感のあるセット商品を平台で展開し、お値打ち価格で提供。季節感と買い得感をアピールする。

サニー福岡桧原店のキュウリ、トマト、ナスなどの季節野菜をセットにして平台エンドで展開している青果売場
キュウリ、トマト、ナスなどの季節野菜をセットにして平台エンドで展開。地場産の鮮度をアピールする/サニー福岡桧原店

 このほかストックの利便性に優れ、簡便性も高い冷凍野菜を強化するチェーンも増えている。「マルエツ武蔵新城店」では、冷凍野菜や冷凍果実の専用コーナーを展開し、カット済みの素材のほか、ミックスタイプなどを揃える。

マルエツ武蔵新城店の冷凍野菜・果実を専用コーナー
冷凍野菜・果実を専用コーナーで展開。多様な商品を取り揃え、必要な時に「必要な分だけ」使える利便性を訴求する/マルエツ武蔵新城店

 青果部門は、相場の影響を受ける中で、節約志向への対応も重要となる難しいカテゴリーでもある。店舗では、鮮度や利便性など、さまざまな付加価値を提案していくことで、差別化を図ろうとする努力がなされている。

※掲載した写真はすべて取材時のものです。現在の売場と異なる場合があります。

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