スピードウェイを取り込んだセブン-イレブンは米コンビニ市場の覇権を握ることはできるか?

在米ジャーナリスト:岩田太郎
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先端テクノロジーで米コンビニ業界をリード

 セブン-イレブンは、ブランド力のある飲料やファストフードによる競合との差別化に加えて、その豊かな資本力を活用した先端テクノロジーのサービスでもさらなる優位に立とうとしている。

 好例が、全米で普及が加速する電気自動車(EV)向けに、ガソリンスタンド敷地内に設置を始めた充電施設だ。2023年3月にセブンチャージ(7Charge)ブランドの充電アプリをリリースする一方、南部フロリダ、南部テキサス、西部コロラド、西部カリフォルニアの4州において充電スタンドを立ち上げた。

 提供する充電規格はCCS およびCHAdeMOで、7月現在は約20カ所で営業。さらに設置個所を増やしてゆく計画だ。ガソリンスタンド併設型コンビニの利を活かせる新たなメシの種であり、より裕福なEVオーナーたちの来店による店内商品やサービスの売上増大も見込める。

 さらに、ネットコンビニ「セブンナウ(7NOW) デリバリー」において、即食性のある商品の注文をアプリで受け付け、迅速に宅配する価値提案により、コンビニの枠を超えたEC業者としての成長も目指す。

 また、スピードウェイの買収では880人規模の人員削減を行う一方、各種の事業統合によるシナジーを実現させ、パンデミック後のさらなる展開拡大にも備えている。セブン-イレブンは、米コンビニ業界の覇権を狙える最短距離にあると言えよう。

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